• "予防接種法"(/)
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  1. 奈良県議会 2019-02-01
    02月28日-05号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    平成31年  2月 定例会(第335回) 平成三十一年        第三百三十五回定例奈良県議会会議録 第五号 二月   平成三十一年二月二十八日(木曜日)午後一時開議   --------------------------------          出席議員(四十三名)        一番 亀田忠彦          二番 池田慎久        三番 猪奥美里          四番 山中益敏        五番 川口延良          六番 松本宗弘        七番 中川 崇          八番 佐藤光紀        九番 川田 裕         一〇番 井岡正徳       一一番 田中惟允         一二番 藤野良次       一三番 森山賀文         一四番 大国正博       一五番 岡 史朗         一六番 西川 均       一七番 小林照代         一八番 清水 勉       一九番 松尾勇臣         二〇番 阪口 保       二一番  欠員          二二番 中野雅史       二三番 安井宏一         二四番 田尻 匠       二五番 奥山博康         二六番 荻田義雄       二七番 岩田国夫         二八番 乾 浩之       二九番 太田 敦         三〇番 宮本次郎       三一番 和田恵治         三二番 山本進章       三三番 国中憲治         三四番 米田忠則       三五番 出口武男         三六番 新谷紘一       三七番 粒谷友示         三八番 秋本登志嗣       三九番 小泉米造         四〇番 中村 昭       四一番 山村幸穂         四二番 今井光子       四三番 梶川虔二         四四番 川口正志   --------------------------------        議事日程一、当局に対する一般質問   -------------------------------- ○議長(川口正志) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後六時まで延長します。   -------------------------------- ○議長(川口正志) ただいまより、当局に対する一般質問を行います。 順位に従い、二番池田慎久議員に発言を許します。--二番池田慎久議員。(拍手) ◆二番(池田慎久) (登壇)奈良市・山辺郡選挙区選出、自由民主党の池田慎久でございます。今議会は、私にとりまして一期目の任期最後の定例県議会となります。この四年間の任期で合計十六回の議会が行われますが、私にとりましては今回で九回目の登壇となります。本会議で多くの質問の機会をいただきました自由民主党会派の議員の皆様と応援していただいております県民の皆様に心から感謝を申し上げますとともに、今回の質問も、県民の皆様の声や願いを県政に届けることで、奈良県がもっともっとよくなり、県民の安心と元気と未来につながるよう、誠心誠意、質問させていただきますので、よろしくお願いを申し上げます。 まず初めに、京奈和自動車道大和北道路の整備促進について、荒井知事に質問をさせていただきます。 京奈和自動車道は、京都府を起点といたしまして、奈良県を北から南西に抜けて和歌山県へ至る延長約百二十キロメートルの高規格幹線道路であり、奈良県にとって最重要路線となる京奈和自動車道の早期全線開通が望まれるところであります。 既に大和御所道路橿原北インターチェンジから橿原高田インターチェンジ間を除く全区間、及び五條道路の全線が開通し、周辺では工業団地の形成や住宅開発、店舗建設が進むなど、その効果があらわれており、今後もさらなる発展が期待されております。 さて、大和北道路のうち、(仮称)奈良インターチェンジから郡山下ツ道ジャンクションの区間六・三キロメートルについては、平成二十一年に高架の構造で事業化され、調査・測量、そして用地交渉に入ったと聞き及んでおりますが、奈良県全体の発展を考えますと、できるだけ早く完成させなければならないと私は考えております。 そこで、荒井知事にお尋ねしますが、現在事業中の(仮称)奈良インターチェンジから郡山下ツ道ジャンクションまでの区間における整備について、現状はどのようになっているのでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。 また、京都府県境付近に設置される予定の(仮称)奈良北インターチェンジから(仮称)奈良インターチェンジまでの区間六・一キロメートルが今年度、事業化されましたが、大和北道路の全線開通で期待される効果はどのようなものと考えておられるのか、知事のお考えをお聞かせいただきたいと思います。 次に、リニア中央新幹線について、荒井知事に質問させていただきます。 リニア中央新幹線は、全国新幹線鉄道整備法に基づき整備される高速輸送鉄道で、昭和四十八年十一月に奈良市附近を主要な経過地とする基本計画が決定された後、法に基づく手続が積み重ねられ、平成二十三年五月には奈良市附近を主要な経過地とする整備計画が定められました。その後、国土交通大臣がJR東海を建設主体及び営業主体に指名、品川・名古屋間については、環境影響評価・工事実施計画の認可などを経て、平成二十六年十二月に着工されました。一方、名古屋・大阪間については、JR東海は、当初、二〇二七年に予定される品川・名古屋間の開業後、八年間の経営体力回復期間を置いて着工し、二〇四五年の全線開業を予定しておりました。 しかしながら、これでは遅過ぎると、荒井知事をはじめ、関係市町村、経済団体、そして沿線府県などが一丸となって、国やJR東海に対し全線同時開業を求める要望活動を展開した結果、平成二十八年に安倍政権は、財政投融資を活用して全線開業を最大八年間前倒しすることを決定し、その後、二年間にわたって総額三兆円の貸し付けがJR東海に対して行われました。この結果、品川・名古屋間の開業後、速やかに名古屋・大阪間の工事が着手され、早ければ二〇三七年には三重・奈良・大阪ルートによる全線開業と奈良市附近駅の設置が実現する見通しとなるなど、大きく前進してきております。さらに、JR東海の関係者からは、工事着工の四年前ぐらいには環境影響評価に着手する旨の発言があったとも聞いており、そうなりますと、これから四年ほど先には奈良市附近駅の位置が決まってくることとなりますので、まさに本県のリニア中央新幹線誘致にとって非常に大事な時期に入りつつあると実感をいたしております。 そこで、荒井知事にお伺いします。 リニア中央新幹線については、国の財政投融資を活用することにより最大八年間前倒しされ、早ければ二〇三七年に全線開業する見通しとなるなど大きく前進してきていると認識しておりますが、リニア中央新幹線奈良市附近駅の設置により期待される奈良県への効果と、誘致に向けた県の取り組み状況についてお聞かせいただきたいと思います。 次に、奈良県が管理する道路の災害復旧及び維持管理について、県土マネジメント部長に質問させていただきます。 道路は私たちの生活に欠かすことのできない社会資本ですが、台風被害などにより寸断されてしまうと、日常的に利用する道路が通れなくなり大変不便になるなど、県民生活に大きな影響を与えてしまいます。この二年間で台風被害が多く発生しましたが、とりわけ、私の選挙区であります奈良市東部地域や山添村においては、道路の被害箇所が大変多く、場所によっては、工事には着手しているものの、いつ開通できるか、まだ見通しがつかないというところもあると聞き及んでおります。一日も早い復旧と安全性・利便性の確保が強く求められておりますが、平成二十九年及び平成三十年の台風などにより被害を受けた県道や県管理の国道等の災害復旧工事はどこまで進んでいるのか、お聞かせいただきたいと思います。 また、奈良市東部地域や山添村における復旧状況、とりわけ、広域迂回を余儀なくされている天理加茂木津線の開通の見通しについてお聞かせください。 続いて、奈良県が管理する道路の維持管理にかかわってお尋ねします。 県道をはじめ、三桁国道など、奈良県が管理する道路の総延長は約二千キロメートルに及びますが、土木事務所においては、適切な道路の維持管理やパトロールを通して、私たちが安全安心で快適に通行できるよう、日々ご努力いただいておりますことに、県民の立場からお礼を申し上げたいと思います。 しかしながら、予算上の制約もあり、路線によっては、道路の維持管理が行き届かず、沿道の樹木が、この写真のように、道路に覆いかぶさり、まるでトンネルのようになっているところや、道路側溝が堆積土砂で埋まり側溝の機能が失われているところも見受けられます。これは、私が先週末、撮影をいたしました国道三六九号の写真であります。 道路構造令第十二条では、道路上の安全な通行を確保するため、車道の上空四・五メートル、歩道の上空二・五メートルの範囲内に障害となるものを置いてはならないという、空間確保の限界である建築限界が規定されております。もちろん、道路を覆う樹木は沿道の土地所有者のものであり、当然のことながら、本来は、その土地所有者の責任において伐採をするなど適切に管理しなければなりませんが、このような場所においては、台風などにより強風が吹くと樹木が折れて道を塞ぎ大変危険な状態になることもしばしばございます。 奈良県においては、道路の通行に支障を及ぼすおそれのある樹木の土地所有者を調査し、その土地所有者に連絡をして伐採を促していただいているようですが、土地所有者と連絡すらとれない案件も多いと聞いており、なかなか改善に向けて進みません。 特に、トラックやバスなど大型車両が通行し交通量も多い奈良市東部地域の国道三六九号、県道奈良名張線県道奈良笠置線、さらに、県道福住上三橋線などにおいては、沿道に樹木が多く、台風などで強風が吹くと樹木の枝葉が建築限界内に垂れ下がり通行に支障を来すことがあり、必要に応じて緊急かつ応急的に奈良土木事務所が伐採等の対応をしていただいております。 こちらの向かって左側の写真がございますが、針ヶ別所町並びに水間町の伐採は既に完了をしていただいております。ここに示しておりますように、国道三六九号や県道奈良名張線だけでも、確認されているだけで、赤でマーキングをしております、これだけの箇所において沿道の樹木が道路を覆い通行に支障を来しているというのが現状でございます。 私は、これまで、道路の維持管理の予算確保について強く要望をさせていただいてきたところでございますが、県管理の道路を覆う樹木の枝葉が建築限界内にはみ出した場合の伐採等については、道路管理者である県において、安全で安心して快適に通行できる道路空間を確保するために、道路管理者としての責任において、もっと積極的に対応すべきではないかと考えますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 あわせて、住民等で構成された団体などによる道路の管理活動を支援する事業である、みんなで・守ロード事業についてもお尋ねします。 もてなしの心あふれる魅力ある奈良県づくりを推進するため、地域の住民や企業による快適な道路空間の維持・向上に向けて主体的な取り組みの育成と継続を図るため実施されている事業であり、自分たちの住む地域を愛し、幸せに感じられる地域づくりを推進することを目的として、平成十八年から実施されております。 このみんなで・守ロード事業では、一、道路保全プログラム、二、道路美化プログラム、三、道路サポータープログラムが設けられており、道路保全プログラムでは、日常的に道路の草刈りを、また、道路美化プログラムでは、植栽や清掃、簡易な草刈りなどの美化活動を行っておられる団体に対し、県が支援をしています。 このみんなで・守ロード事業はとてもすばらしい取り組みであり、賛同していただいている自治会など地域団体において、単に道路維持にかかわる清掃美化活動にとどまらず、地域のつながりを実感できる、地域に愛着を持つことができる、作業後の達成感や満足感があり嬉しいなどのお話を伺います。 そこで、お尋ねします。これからも、みんなで・守ロード事業への参加団体をふやし、地域住民との協働による道路管理を拡大して行くべきと考えますが、今後どのように取り組もうとされているのか、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 次に、奈良の宿泊施設をふやす取り組みについて、観光局長に質問させていただきます。 奈良県の課題とされている日帰り通過型から宿泊を伴う滞在型への転換を促す取り組みが徐々に成果となってあらわれてきましたが、現在策定中の奈良県インバウンド観光戦略二十年ビジョンの素案には、六百六十万泊の目標が掲げられておりますし、近い将来においても、二〇二五年、万国博覧会が大阪で開催されることとなり、ますます奈良を訪れる観光客がふえることが予想されます。 また、今年はラグビーワールドカップ二〇一九が開催され、来年にはいよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催されますし、再来年にはワールドマスターズゲームズが関西において開催されます。さらに、来年春には二千人規模の奈良県コンベンションセンターが開設されることや、近年の外国人観光客の急増などを見ますと、私は、この追い風の状況をチャンスと捉え、宿泊施設の整備を促進していくことが急務であると考えております。 そこでお尋ねしますが、周遊・滞在型の観光施策を推進する奈良県として、今後どのようにして宿泊施設をふやす取り組みを進めていこうと考えているのか、お考えをお聞かせください。 次に、奈良公園バスターミナルを利用する観光バスの駐機場として、奈良県が用意している高畑観光駐車場へのルートにおける交通渋滞対策について質問させていただきます。 先日、二月十八日の奈良県議会観光振興対策特別委員会におきまして、私から、観光バスの駐機場はどこなのか、奈良公園バスターミナルの利用台数と二カ所の駐機場を利用する観光バスの割合等について質問いたしましたところ、担当課の答弁では、駐機場は高畑観光駐車場と大和郡山市の上三橋の駐機場を用意し、高畑観光駐車場を利用する観光バスの割合は約三〇%を見込んでいるとのことでありました。 平成二十九年に大仏殿前駐車場を利用した観光バスの実績では、年平均で一日二百二十台、春の観光シーズンでは最大一日二百八十四台、秋の観光シーズンでは一日最大二百七十六台となっており、春・秋の観光シーズンのピーク時には一日約二百八十台の観光バスが利用したとのことであります。 例えば、この二百八十台が四月十三日にオープンをする奈良公園バスターミナルを利用するとして、そのうち約三〇%の観光バスが高畑観光駐車場を利用するとなりますと、年間平均で六十台のバスが、ピーク時には八十四台の観光バスが市内循環道路を毎日往復して通行することになります。 奈良公園バスターミナルを利用する時間帯は、大仏殿前駐車場の実績から午前九時ごろから午後四時ごろが多く、朝夕の通勤時間帯に市内循環道路へ流入する観光バスは少ないとのことでありますが、午前九時から午後四時の時間帯でも、奈良の市街地を走る市内循環道路は、近隣住民がいつも利用する道路として自家用車や商業車が多く利用し通過交通も多い道路であり、また、日常生活に欠かせない市内循環バスがこの時間帯には八分から十分間隔で内回り・外回りのルートで走っており、交差点付近では緩やかな交通渋滞が慢性的に発生しております。 私はこれまで県議会におきまして、県民の大切な命を守るために救急搬送時間の大幅な短縮を強く訴えてまいりましたが、県が示されている観光バスの駐機場へのルートとして市内循環道路の区間を通る場合、ご存じのように、救急告示病院が三カ所ございますし、奈良市消防局中央消防署もあります。現状でも交通量が多い上に、観光バスが往復で最大約百七十台も流入すると車が動かなくなるのではないか、市民生活に影響が出るのではないか、救急車両、緊急車両の通行に支障を来してしまうのではないかと危惧しております。 そこで、お尋ねします。奈良公園バスターミナルを利用する観光バスが駐機場である高畑観光駐車場へ向かうルートとなる市内循環道路における交通渋滞による市民生活への影響が心配されることについて、まちづくり推進局長のご見解をお聞かせいただきたいと思います。 次に、県立高等学校や県内の公立小中学校における空調設備、いわゆるエアコンの設置について教育長にお尋ねします。 奈良県の公立高等学校では、平成二十七年度に、ようやくモデル校に空調設備を設置するなどの取り組みが始まり、平成二十九年十二月議会において、県立高等学校の空調設備の整備についての請願が採択されたことを受け、未整備の県立高等学校に空調設備を設置すべく、平成三十年度に設計を、さらに、平成三十一年度には設置工事を行う予定と伺っております。 そこで、教育長にお尋ねしますが、県立高等学校における空調設備の設置の見通しはどのようになっているのでしょうか。また、耐震化工事が必要な学校がございますが、空調設備の設置にどのような影響があるのか、お答えいただきたいと思います。 次に、県内の公立小中学校における空調設備の設置率の見通しについてお尋ねします。 奈良県下の市町村においては、これまで校舎の耐震化を優先して取り組んできたため、空調設備の整備が遅れていたことは事実であります。 実際、平成二十九年四月一日現在の設置率は七・四%と全国的にも極端に低い状況でありました。近年の異常気象による猛暑、とりわけ、昨年夏の三十七度Cを超える酷暑を受け、公立小中学校への空調設備を早期に整備してほしいとの声が全国的に大きく上がりました。その声を受けて、すぐに国は、昨年、緊急措置として補正予算を組み、全国の公立小中学校への空調設備の整備を促進すべく取り組んでいただきましたし、加えて、奈良県においても、補正予算を組んで支援をしていただいた結果、奈良県内の市町村においては、今年の夏までの設置を目指し、スピード感を持って取り組んでいただいていると聞き及んでおります。 そこで、お尋ねしますが、県内の市町村においては、今年も猛暑が予想される夏までに空調設備の整備に取り組んでいますが、予定どおり設置が進んだ場合、公立の小中学校の空調設備の設置率はどのようになる見通しか、お聞かせいただきたいと思います。 以上で、壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)二番池田議員のご質問にお答え申し上げます。 私に対しましては、まず、京奈和自動車道大和北道路の整備について、現状と効果についてのご質問でございます。 京奈和自動車道は、本県にとって極めて重要な社会資本でございます。県の最重点事項として取り組んでおります。大和北道路の(仮称)奈良インターチェンジから郡山下ツ道ジャンクションの区間につきましては、平成二十年度に事業化され、早期の用地買収を図るため、国だけでなく県の土地開発公社も協力しまして用地買収に取り組んでおります。用地買収状況は、昨年末までに奈良市域は面積ベースで五三%、大和郡山市域は六四%の進捗でございます。全体では約六割の用地買収が完了しております。この結果、この三月には大和郡山市で工事着手されることとなり、起工式典が三月十日に開催される予定でございます。 また、今年度は、大和北道路の(仮称)奈良北インターチェンジから(仮称)奈良インターチェンジまでが事業化され、トンネル部分でございますが、その結果、京奈和自動車道が全線事業化されました。あわせて、(仮称)奈良北インターチェンジから郡山下ツ道ジャンクションまでの十二・四キロメートルにつきましては、有料道路事業が導入され、新たにNEXCO西日本が事業者として加わり、早期の建設整備を期待しているところでございます。 大和北道路の全線開通で期待される効果でございますが、これまで京奈和自動車道の開通効果だと思いますが、平成三十年上期の奈良県の企業立地件数は、近畿で二位、全国で七位にランクされるなど、これまでにない大きな効果があらわれてきております。企業立地への効果が、京奈和自動車道の現在まで最大の効果であると思いますが、まだ工場、事業所の立地の希望が続いております。 もう一つは、奈良県は南北に長い県でございますので、北和、中和、南和を結びつける効果が絶大だと思っております。企業立地が南に行く効果、南の工場の値打ちが上がる効果が確実に出てきております。また、これに縦の幹線が整備されることによりまして、そこに張りつく、つなぐ域内の道路の整備の意味が向上しております。ネットワーク効果、ストック効果と呼ばれるものでございますが、このような関連道路の整備により、奈良県の交通インフラの値打ちが格段に上がることが予想されます。 さらに、観光面の効果があると思います。域内交通の弱い奈良県ということでございますが、散在、散らばっております観光地を結びつける周遊観光を効率的にする効果があると思います。その結果、滞在時間が延びて観光経済の面で大きな寄与が期待されるものでございます。 今まで周辺道路に流れていた自動車が幹線の中心部を走ることによって、すいてくる効果があらわれてきております。その結果、安全面でも効果があるとともに、救急自動車などがそのような道路をスムーズに走れるといった効果が出てきております。このような幹線はもっと早期に必要だったと改めて思われる次第でございます。 早期完成を目指して国やNEXCO西日本と協力して、県としても積極的に整備促進に取り組んでまいりたいと思いますが、関連する工場立地、観光、また、安全などの関連する道路の整備にも努力をしていきたいと思っております。ご支援賜りますように、よろしくお願い申し上げます。 リニア中央新幹線の駅の設置についての効果と、これまでの誘致に向けた取り組み状況についてのご質問でございます。 リニア中央新幹線の整備の目的は、一つには、東西大動脈の二重系化を図り、国土軸を分散させるリダンダンシーの考え方が取り入れられていることが一つあると思います。一つの災害で国家機能を麻痺させないという考え方でございます。 二つ目には、これまで振興のおくれた地域の活性化を図る、高速鉄道の便益を均てんさせる目的があると思います。国土の軸を利用して地域の発展を促す均衡ある国土の発展を目指すものと思われます。そのようなことは、国家的見地に立ったプロジェクトということでございますので、全国新幹線鉄道整備法、法律に基づいてJR東海さんがみずからの資本で整備される形になっているところでございます。 このように、国土の第一の軸を外れた第二の軸をつくるという構想でございますので、奈良県のような第一の軸から外れた地域を発展させる新たな可能性が期待されるところでございます。これまで新幹線の駅も空港もない本県にとって、経済の発展の可能性、また、交流人口の拡大など新しい効果が期待される交通インフラと考えております。 特に、私は、第二の国土軸のリニア中央新幹線は、大都市間を結ぶだけでなく、中間駅が結構な田舎を、長野にしろ甲府にしろ岐阜にしろ、田舎を通るものでございますので、大都市と田園を結びつける効果がある、奈良もその一つであると思いますが、これまで、そのような構想の軸はなかったわけでございますので、東海道メガロポリスのように、連たんして町をつくるというだけでなしに、大都市の住民が田園に行って癒される、田園で知的な能力を上げて大都市に行くといったような、日本ならでは、できる新しい国土、あるいは人材づくりに寄与する可能性があると思い、その点を国の会議などで強調をしてきているところでございます。 リニア中央新幹線の奈良市附近駅の意味でございますが、本県のゲートウエーとしての役割を担うものでございますので、域内交通との結節性の確保というのは重要でございます。また、玄関口でございますので、今までにない、どこの駅ですかと聞かれるようなありきたりの駅ではない、奈良らしい品格のあふれた玄関口としてふさわしい魅力のある駅になればと願っております。 また、このような高速鉄道は大きな人材、あるいは知的な資源と結びつく可能性がありますので、先端的で高度な知識関連の産業、研究所、学術機関、オフィスなどが大規模に集積して高度なサービスが行き届いたまち、奈良県の言葉でAIタウンと呼び始めておりますが、そのようなまちになればと願っております。 こうしたまちづくりの具体的な検討や結節性を確保するための計画的な整備を進めるためには、駅位置とルートの早期確定が必要でございます。三重・奈良・大阪ルートを前提として、奈良県、三重県、大阪府が早期確定の要望活動等を実施してきておりますが、今後とも、JR東海が駅ルートの公表に向けた準備をできるだけ速やかに行っていただきたいと思っております。そのため、誠実で信頼関係に基づく協力連携関係をJR東海と自主的に進めているところでございます。 加えまして、増加するインバウンド観光需要と外国人労働者の域内各地域との往来の円滑化のためには、海外との接続、国際空港との接続、結節性の強化がこれから重要でございます。奈良市附近駅と関西国際空港を直結するリニア中央新幹線の新しい支線ともなる、空港線ともなる新幹線の構想について具体化に向けた検討を行っているところでございます。二十分で結ぶことは技術的に可能でございます。 いずれにいたしましても、リニア中央新幹線を活用した奈良県の地域振興には地域の自前の発想と自助努力は不可欠でございます。議員お述べのように、二〇三七年に見込まれる全線開業と、これに伴う奈良市附近駅の設置を本県がさらに大きく飛躍する全く変わった奈良県に発展するチャンスと捉え、二十年後の本県の姿を見据え、本県のこれまで持っております独自の資源を最大限に活用するという観点で戦略的な地域づくりができたらと願っております。 私に対する質問は以上でございました。ありがとうございました。 ○議長(川口正志) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私に対しては、三点、道路管理に関して災害復旧と維持管理の質問がございました。順次、お答えさせていただきます。 一点目の災害復旧でございますけれども、平成二十九年から平成三十年にかけての台風で、県でどういう取り組みをしているかということだと思います。 平成二十九年から平成三十年にかけまして、県管理事業としては、災害復旧事業で平成二十九年度は八十一カ所、平成三十年度は四十五カ所で、順次、今、工事に着手してございます。平成二十九年度工事は二年前の工事になりますので、八十一カ所のうち六十一カ所が完了しているという状況でございます。 ご質問の奈良市東部地域や山添村では、合わせて三十六カ所、災害復旧工事が採択されてございまして、二十七カ所が今工事完了しているという状況でございます。 今お述べになりました、県道天理加茂木津線でございますけども、これは、平成二十九年に道路の路肩が決壊して復旧工事を、今、行っているところでございます。地域住民の皆様方には広域迂回をしていただいており大変ご不便をおかけしておりますが、引き続き工事の進捗に努め、今年の夏ごろを目途に交通の解放を目指していきたいと思っております。 続きまして、二つあわせて回答させていただきます。 樹木の枝葉が建築限界内にはみ出した場合どうするのか、また、みんなで・守ロード事業をどう使っていくのかという、維持管理に関してでございます。 維持管理についてでございますけども、予算的なことを申しますと、道路の維持管理というのは年々増額を認めていただいております。平成三十一年度予算案も、今年度に比べて約二億円の増額をお願いしております。ありがとうございます。また、地域の皆様からのご要望にきめ細かくお応えするために、効率的、効果的な執行に取り組んでいるとこでございます。 ご指摘になりました、通行に支障となる樹木でございますけれども、穴ぼことかひび割れ等と同様に、まず職員が道路パトロールをしたり、道路利用者からの通報により、速やかに現場状況を確認してその程度を把握いたします。今、穴ぼことかは大規模な補修を除き速やかに対応しておりますが、今後、通行に支障となる樹木についても、今までは土地所有者に対応をお願いすることが主だったのですが、緊急性とか地元の要望に鑑みて、お話にありました道路法第十二条に基づきまして樹木の枝葉の伐採を行って、道路管理者において積極的に道路空間の確保に努めるように徹底してまいりたいと思います。道路法の解釈につきまして、一部、きちんとご説明できていないことがございまして、申しわけございませんでした。 ただ、道路管理の予算はいまだに厳しい状況ですので、課題箇所には順次対応することになります。例えば、奈良土木事務所でしても、管内全体の状況を見ながら、除草とか穴ぼこ補修の対応も含めて、全体バランスをとりながら、順次、維持管理を進めるように指示したいと思ってございます。 最後に、みんなで・守ロード事業の話もいただいてございます。道路の維持管理につきまして、安全安心で快適な環境を求める空間をつくるためにも、地域の実情を十分に把握させていただき、今お話したみんなで・守ロード事業等も積極的に活用しながら管理に努めてまいりたいと思います。以上でございます。 ○議長(川口正志) 折原観光局長。 ◎観光局長(折原英人) (登壇)池田議員から私には、宿泊施設をふやす取り組みについてお尋ねがございました。お答えいたします。 本県のホテル・旅館の施設数や客室数は全国最下位レベルにとどまっております。急増しているインバウンド観光需要を取り込み、通過型観光から滞在型観光への転換を図るため、上質なホテルや民泊サービスなど、宿泊施設の質と量の充実に積極的に取り組んでございます。 本県のホテルの客室数でございますけれども、平成二十六年度からの五年間で約千二百室増加しております。今後三年間で少なくともさらに約一千百室増加する見込みでございます。 県では、県有地を活用いたしましてJWマリオットホテル奈良の誘致、これに続きまして、奈良公園においてトップクラスのホテルの誘致を進めてきたところでございます。これにより、奈良のブランド価値を一層向上できるものと強く期待してございます。 こうしたことを背景にいたしまして、奈良はホテル立地の投資先として、これまでにはないくらい注目されているというふうに感じてございます。この機会を捉えまして、新たにJETROと連携いたしまして、海外ホテル事業者等を対象とした誘致活動を実施するなど、取り組みを加速してまいりたいと考えてございます。 また、外国人観光客の多様なニーズに対応し宿泊施設の選択肢を広げるものといたしまして、民泊サービスの活用を進めてございます。二月十五日時点でございますけれども、県内の届け出住宅は百四件となってございまして、都市部での一般的な住宅や観光拠点周辺での古民家を活用したものですとか、山間部での自然体験を伴うものですとか、バラエティーに富んだ民泊サービスが県内全域で広がりつつあると受けとめてございます。県としては、このような動きを後押しいたしまして、良質な民泊サービスの供給を促進していくために、開業やサービスの向上に対する支援を積極的に行ってまいりたいと考えてございます。 こうした取り組みを進めていくに当たりましては、県と市町村の連携・協働が重要と考えてございます。市町村と連携・協働しながら、意欲ある宿泊施設の取り組みを支援するなど、宿泊施設の質と量の充実に引き続き精力的に取り組んでまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(川口正志) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)二番池田議員から、私には、奈良公園バスターミナルから駐機場へ向かうルートとなる市内循環道路の交通渋滞が懸念されるがどうかとのご質問です。 奈良公園バスターミナルから駐機場への回送ルートにつきましては、県警察とも協議を行いまして、周辺の交通状況を踏まえ、幹線道路を経由するルートを設定しております。 高畑駐車場を駐機場として利用するバスは、ピークの十四時前後の時間帯で、一時間当たり往路・復路それぞれ十台程度が回送ルートを移動することになります。 一方、当該ルートが最も混む十七時台におきましては、バスの回送台数は、繁忙期でも往路・復路合わせて六台程度と少なく、回送ルートの交通状況に影響を与えることはないと想定しています。いずれにせよ、今後、ターミナル供用開始後の交通状況に注視してまいりたいというふうに考えております。 以上でございます。ありがとうございました。 ○議長(川口正志) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)二番池田議員のご質問にお答えをいたします。 私には、空調設備の設置についてのご質問で、最初に、県立高等学校の空調設置の見通しについてお尋ねでございます。 県立高等学校の空調設備につきましては、議員お述べのように、平成二十九年十二月議会で県立高等学校の空調設備の整備についての請願が採択されたことを受け、全ての県立高等学校の普通教室に設置することといたしております。これまで、県立高等学校三十三校のうち西和清陵高等学校など八校で設置を完了し、平成三十一年度においても、法隆寺国際高等学校など七校で設置する予定でございます。また、育友会等でリースにより設置いただいた十四校につきましては、今年度より契約を引き継ぎ、県においてその費用を負担いたしております。 残り四校のうち、奈良朱雀高等学校は平成三十一年度からの耐震補強工事にあわせて設置をし、山辺高等学校、大宇陀高等学校、また、王寺工業高等学校の一部の教室は耐震化のための改築時に設置をいたします。なお、改築設計は現在実施しており、新築工事も二〇二〇年度中に着手し二〇二二年度に完了する予定でございます。 次に、県内の公立小・中学校の空調設置の取り組み状況についてのお尋ねでございます。 昨年夏の災害とも思える猛暑による健康被害の発生状況等を踏まえ、公立学校における熱中症対策としての空調設備設置を推進するため、国は、第一次補正予算でブロック塀・冷房設備対応臨時特例交付金を創設いたしました。 県におきましても、各市町村の空調設備設置にかかる財政負担の軽減のため、公立小中学校空調設備設置緊急支援補助金を創設いたしまして、国交付金を活用して設置に取り組む市町村に対しましては、早期設置に向け支援することといたしております。 市町村におきましては、これらの補助制度等を活用し、今年の夏までの空調設備の設置に向け取り組みを進めており、学校統合を予定されているなど特別の事情がある一部の市町村を除きまして、おおむね一〇〇%となる見込みでございます。 なお、県内で空調の設置工事が一時期に集中することが予想されますので、円滑に工事が進むよう、関係業界団体に協力要請を行うなどしておりまして、今後の対応につきましても万全を期してまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(川口正志) 二番池田慎久議員。 ◆二番(池田慎久) ご答弁ありがとうございました。 順番がいろいろ変わりますけれども、まず、三番目にお尋ねをいたしました道路の災害復旧についてでありますが、まず、一日も早い復旧をぜひお願いしたいというふうに思います。それを強く要望しておきます。 また、道路の維持管理についてでございます。建築限界を侵している樹木の枝葉を道路管理者として積極的に伐採を行って道路空間を確保するとのご答弁をいただいたというふうに理解をいたしております。県の考え方をしっかりと各土木事務所にお伝えいただいて徹底していただいて、安全で安心して、また快適に通行できる道路の適正管理をお願いしたいというふうに思います。 また、あわせて、当然、新たにそういった建築限界を侵している樹木を積極的に伐採するという作業がふえてくるわけでございますから、予算も必要になってまいりますので、かかる予算の確保についてもお願いをしておきたいというふうに思います。 次に、五番目にお尋ねをいたしました、市内循環道路における交通渋滞による市民生活への影響が心配をされることについてでございますが、先ほどまちづくり推進局長のご答弁では、市民生活への影響はないと想定をしているということでございますので、ないと宣言をしていただいたというふうに理解をいたしております。 実際、運用してみないとわからない部分もあると思うのですけれども、特に、連休明けぐらいから修学旅行のピークがいきなりやってまいりますので、この時期、交通渋滞、市民生活に影響はないのかどうか、そのあたりもしっかりと見ていただいて、必要に応じて柔軟にルートの見直し等を進めていただけるようにお願いをしておきたいというふうに思います。 それと、周辺の自治会あるいは連合会についても説明をしっかりとしていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 ○議長(川口正志) 次に、三番猪奥美里議員に発言を許します。--三番猪奥美里議員。(拍手) ◆三番(猪奥美里) (登壇)国民民主党の猪奥美里です。議長のお許しをいただきまして、早速一般質問に入りたいと思います。 今月、千葉県野田市で、また子どもが親に殺されるという痛ましい事件が起きました。政治の役割は命、暮らし、尊厳を守ることだと改めて痛感をしています。 まず、一問目に児童虐待防止や虐待を受けた子たちへのケアについて知事にお伺いをいたします。 今月の野田市の小学校四年生の栗原心愛ちゃん、昨年三月の東京都目黒区の五歳の船戸結愛ちゃん、いずれも児童相談所や行政が救えた命ではないか。結愛ちゃんの事件の後、同年七月、政府は、児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策を出し、その中でも児童相談所の体制強化や関係機関との連携が求められています。 野田市の心愛ちゃん事件では、勇気を振り絞って書いたであろう、父親にいじめられていると書いたアンケート用紙を、虐待をしていた当の本人である父親に見せるなどの行為が報じられ、批判の声が強まっています。教育委員会の対応がまずかったことは言うまでもありませんが、しかし、担当者だけを責めることもできないと思います。体制に不備がなかったのかを十分検証しなければなりません。 なぜアンケート用紙を見せたのかとの記者の問いに、威圧的な態度に恐怖を感じ屈してしまった、そう答えていました。つまり、親が怖かった。大の大人でも怖いと感じる虐待親は、子どもにはどんなにか怖かったろうと思うと、同時に、教育委員会の担当者が感じた怖いという気持ちにうそはないと思います。恐らく、虐待をする親と対峙をしている児童相談所の職員さんや市町村の担当職員の皆さんの中にもそんな恐怖を感じる経験をされた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。 児童相談所の職員さんが、いつでも、どんな状況下でも子どもの側に立ち、十分に自信を持って働くためにも、福祉以外の専門家の後押しが必要なケースが多くあると考えます。 そこで、知事にお伺いをいたします。 児童相談所の体制強化を図る上で関係機関との連携強化が重要であり、特に、警察との情報の連携共有が必要と考えますが、現在の取り組み状況はどうでしょうか。 また、弁護士を常勤で配置するなど人員体制を充実することが必要と考えますが、どのようにお考えでしょうか。 次に、行政とうまくつながることができ、社会的養護が必要と判断され児童養護施設で暮らす子どもたちのケアについて伺います。 親が何らかの理由で養育できない子を社会で育てる社会的養護、里親さんなど、できるだけ家庭に近い環境でと取り組みは行われていますが、まだまだ柱は児童養護施設が主です。現在、日本全国で二万七千人以上の子が、奈良県においても二百五十二人の子が児童養護施設で生活をしています。 児童養護施設は、もともとは戦争孤児のためにつくられた施設ですが、現在、施設で暮らす子のうち虐待が主な入所理由とする子は百十九人と約半数、四七・二%を占めています。さらに、入所の時点では虐待の有無が確認できなかったが、入所後に施設生活において虐待を受けていたことが後から確認をされる子も多く、約六割が虐待経験を持つという報告もあります。虐待が子に与える影響は、一時的な命の危険だけでなく、長く、ひいては将来にも影響を与えることが明らかになっています。 にもかかわらず、十八歳になったら、社会的養護のもとで暮らす子どもたちは、特別な理由がない限り、高等学校卒業と同時に、今まで生活していた場所にいられなくなります。子どもたちの向き合う環境の厳しさを、ある児童養護施設の施設長は、あてのなさと表現されました。 多くの子どもたちが対人関係を形成することの困難さや、衝動的な行動など、彼ら自身が何らかの生きづらさを抱えている。一般家庭の子とは異なり、自分の親があてにできない親であることが多く、施設に頼らざるを得ない現状がある。彼ら自身が、本来あてにすべき親自身もまた課題を抱えており、あてにできないことに加え、本人そのものも具体的に自立していくために必要な資金を十分持ち得ていないこと、制度的にも、高等学校を出たらほぼ強制的に施設を出なくてはならないことなどといった貧困状態を強いられてしまうこと。 こうした中で、なかなか具体的な将来への目標も持ち得ない。十歳代の子なら本来持つ未来への希望も持ち得ない。こうした状態をあてのなさと表現されました。 二〇〇五年に児童福祉法が改正され、児童養護施設退所者のアフターケアも児童養護施設の業務として位置づけられました。今、児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童、その他環境上擁護を要する児童を入所させて、これを擁護し、あわせて、退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とした施設とするとあります。 さて、二〇一七年の奈良県における大学への進学率は七五・六%でした。それに対して、児童養護施設の退所者はと言うと、二三・五%と大きな開きがあります。児童養護施設を退所した児童のほとんどは就職をしています。あてのなさの中、精神的にも経済的にも不安定になりやすく、十八歳で進学や就労をしながら一人で生活をしていくことは簡単なことでないだろうということは容易に想像ができます。 まずは、施設の中で、衣食だけでなく十分なケアが行われることが必要です。さらに、退所後自立し充実した人生を送ることができるには、退所前のリーディングケアや退所後のアフターケアが重要であると考えます。 この質問の準備をしていました今週頭二月二十五日、東京都渋谷区で、施設を出た子が出身の施設に押し入り施設長を刺すという事件が起きました。児童養護施設における虐待を受けた子どもたちへの心理職によるケアや退所後のアフターケアの取り組みについて、知事にお伺いをいたします。 この問題の最後に、奈良市の児童相談所の設置に関してお伺いをいたします。 現在、児童相談所は県と政令市が設置せねばならない、そう決められています。奈良県には二カ所、大和高田市と奈良市にあるこども家庭相談センターです。二〇〇四年の児童福祉法の改正で中核市も児童相談所が設置できるようになりましたが、現在四十六ある中核市のうち、設置は横須賀市と金沢市の二つの市のみ。三十の中核市は設置の予定なしと答えています。なかなか進まない中、明石市が今年の四月に関西で初めて設置が行われます。そして、全国四例目になるのでしょうか、中核市である奈良市が二〇二一年度の開設を目指しています。開設後スムーズに運用されるためには、設置に向けた県の支援方策と、開設後の奈良県と奈良市の連携方策を十分に検討し協定等にまとめる必要があると思いますが、知事のお考えをお聞かせください。 次に、白血病などの治療に有効な造血幹細胞移植に関する質問を行います。 水泳界のホープ、池江璃花子選手がツイッターで白血病を公表したのは今月二月十二日のことでした。よく、血液のがんと表現されます。血液は骨の内部にある骨髄という場所でつくられますが、血液成分のうち白血球をつくる細胞ががん化し際限なくふえていくようになり、免疫力の低下や、正常な血液成分の生産が滞ってしまう。白血病にも幾つかタイプがあり治療方法も複数ありますが、まずは治療に当たってはたくさんの血液が必要になります。山中教授が懸命にiPS細胞の研究をしてくれてはいますが、現在はまだ血液は人工的につくることができません。人からもらうしか方法がない。献血です。 献血の対象者は十六歳から六十九歳、厚生労働省によると一九九四年に約六百六十万人だった献血者数は、二〇一七年度には約三割減の四百七十三万人。特に若い人の減少が著しく、二十歳代は三分の一の七十四万人でした。このままのペースで減少が続くと、将来、医療技術は進歩するも、血が足りないから手術ができないということが起こりかねません。 そこで、医療政策局長にお伺いをいたします。 白血病のみならず、治療に欠かせない輸血用の血液を確保するためには、特に若者の献血を促進することが重要と考えますが、県のお考えをお聞かせください。 白血病の主たる治療は造血幹細胞の移植で、その方法の一つが骨髄移植ですが、白血球の型であるHLAが合う人からしか移植はできません。この組み合わせが非常に多くて、兄弟なら比較的マッチング率の高いものの、そこで適合がかなわないとなると、今度は、よくて数百人に一人、珍しいタイプだと数万人に一人しか適合しないこともあるとのことです。そのため、骨髄バンクに多くの方の登録が必要となります。 今、池江選手の公表後、本当に多くの方がドナー登録に来てくださっています。奈良骨髄バンクの会の方にお聞きをすると、前月を大きく上回り、今、倍近くの方が登録に来ていただいているとのことです。昔は不治の病だった白血病も、今や医学の進歩で治る病気になってきています。それを支えるのが大勢の方の善意の献血、そして、ドナー登録と提供。人が人を助けるすばらしい仕組みだと思います。 現在、HLAの型の適合率は九割以上ですが、提供に至るのはそのうち六割程度にとどまっています。ここに課題がありまして、ここから二点、医療政策局長にお伺いをしたいと思います。 運良くドナーが見つかって骨髄液を採取するとなっても、骨髄の提供に当たっては、三泊四日の入院に加え、前後数日の通院が必要であり、適合ドナーを移植へと結びつけるためには、県でも新たに骨髄ドナー休暇の助成を設けるなど、ドナーの方の経済的・心理的負担を軽減することが重要と考えますが、県のお考えをお聞かせください。 ドナーから骨髄をいただき、私は新しく生まれ変わった、そうおっしゃる移植の経験者とお話をいたしました。比喩的な表現だけでなくて、血液型も移植前と変わり、提供者と同じ血液型に変わっていくのです。高額療養費制度が適用されるとはいえ、多くの経済的な負担をかけて移植が行われたとしても、また、新しい負担が生じてきます。骨髄移植を受けた方は、これまで受けた予防接種の効果が低下、消失することから、今まで受けた予防接種をもう一度ゼロから受け直さなければなりません。骨髄移植を受けた方の経済的負担を図るためにも、予防接種に対して助成を行うべきと考えますが、お考えをお聞かせください。 今、日本で一年間に生まれる赤ちゃんの数が百万人を切ったのは二〇一六年のことです。二〇一七年に一年間で生まれた子どもの数は九十四万六千人強。出生時のピークは、ちょうど七十歳を迎えられます一九四九年の二百六十九万六千六百人ですので、そのころの三〇%強の数字となります。 奈良県でも、出生数は一万人を切り、二〇一七年は八千九百六十五人でした。一番の要因は、出産適齢の女性の人口そのものが少なくなっていっていることですが、女性の社会進出に伴う晩婚化、晩産化も大きな要因の一つです。みずから子どもを持たない選択をされている方もいらっしゃいますが、望んでもできない、そんな方もたくさんいらっしゃいます。 不妊治療についての質問に入ります。 日本の夫婦の約三組に一組は、自分たちが不妊ではないかと心配したことがあり、五組に一組のご夫婦が不妊症の検査や治療を受けたことがあるとされ、この十年間で急増しています。二〇〇四年からは特定不妊治療費助成制度も始まり、開始時、助成件数一万八千件だったのに対し、昨年には十四万八千六百件と八倍にふえています。 世界の実施状況をモニタリングしている国際組織によると、日本は体外受精の実施件数が六十カ国中一位でした。その一方で、治療成績はというと、際だって低く、日本は、一回の採卵当たりの出産率が六十カ国中最下位でした。体外受精の実施件数が世界最大にもかかわらず成功率は最低というのが、今の日本の不妊治療の現状です。 不妊治療を受ける世代は仕事でキャリアを積む時期とも重なり、多くの人がその両立に悩んでおられます。こうした背景もあってか、遅い治療開始の時期にも成功率の低さの要因があるのかもしれません。 現在、厚生労働省が定めている特定不妊治療の条件は、医師から体外受精あるいは顕微授精以外の方法では妊娠する可能性が極めて少ないと診断されていること、法的に婚姻した夫婦であること、妻の年齢が四十三歳未満であること。夫婦の所得額が合わせて七百三十万円未満であることと定めています。 不妊治療は助成があるとはいえ、自由診療であるため治療に百万円を超えることもあり、経済的にしんどい。その上、肉体的、時間的、さらに精神的にとても辛く、これ以上続けるか迷っている、そんな同世代の声も聞かせてもらいました。 現在、県は厚生労働省に沿った制度を持っていますが、いま一歩踏み込んだ支援が必要であると考えます。県独自の助成制度を創設するなど、治療者に対してさらなる支援が必要と考えますが、県の考えをお伺いいたします。 次に、エネルギー政策についてお伺いをいたします。 二〇一一年の東日本大震災後、福島原子力発電所事故を経て、日本で初めて地方が本格的にエネルギーを考える、そんな時代に入ってまいりました。奈良県でも、エネルギービジョンがつくられたのもこの時期です。まずは電力の不足に対応するということに主眼を置かれたのが第一次で、第二次は地域のエネルギーに主眼を、そして、第二次が終了する時期を今迎え、現在、第三次のエネルギービジョンの策定が進んでいます。 第一次の策定当初から、エネルギー計画は三年という短期で行うものではなく長期の計画を持つべきだという主張を何度も行ってまいりました。振り返ると、第一次策定当初は手探りの状況であったかと思いますが、それから六年が経過をし、その間にパリ協定が締結され、地球温暖化対策としてさらなるCO2の削減に向けた動きと責任が大きくなってきています。エネルギー政策を考える上では、地球温暖化対策の視点は重要と考えていますが、今回策定されている次期エネルギービジョンではどのように考えておられるのか、地域振興部長にお伺いをいたします。 最後に、色の見え方に違いがある児童生徒への配慮について教育長にお伺いをいたします。 先天的に色の見え方が違う色覚障害は、赤、緑、茶が同じ色に見えたり、淡いピンクがグレーや白に見えたりします。なぜかアジア人男性に多く見られ、日本では男性の約五%、女性の〇・二%程度いるとされ、全国で三百万人以上いると推計されています。 当事者の方にお話を聞くと、地図の色分けなんかが見にくいとのお話をいただきました。ほかに困る場はと聞くと学校とのことでした。学校で黒板のチョークが見えづらく悩んでいるケースもあるとのことです。パネルをご用意いたしました。白、黄色、赤、青、緑、それぞれの色で普通の色のチョークで記載がされています。文部科学省は、赤、緑、青、茶などの暗い色のチョークは見えにくいため避けて白と黄色の二色のみを使うように、そんな提言をしています。しかし、カラーチョークを使う先生の気持ちはと言うと、より授業がわかりやすく楽しくという気持ちを持ってのことだと思います。 このような中、人の色覚の多様性に配慮して、より多くの人に利用しやすい配色をした製品、施設、環境、情報サービスを提供するカラーユニバーサルという考え方が社会に浸透しています。その一つが色覚チョークです。こちらが色覚チョークの様子をあわせて書いてまいりました。より色覚チョークの方が見やすいということが皆さんにも見てわかっていただけると思います。教育長もぜひ見てください。 導入の結果、子どもたちからは、日光が当たると見えにくかった赤色がよりはっきり見えるようになる、以前より文字が明るくなり図形の輪郭がはっきりするようになった、先生方からも、どんな色も気を使わず使えるようになったと好評のようです。県内でも、橿原市で導入が進んでいるとお聞きをしています。 学校の健康診断で実施されていた色覚検査は二〇〇三年に必須ではなくなりました。そのため、児童や保護者が長年気がつかないというケースが指摘され、学習面での配慮が足りないというお声が上がっています。県内の児童生徒数は約十四万七千人。およそ三千九百人弱の生徒がそのような特性を持つと推測されます。男子に限ると一クラスに一人はいる、そんな割合です。色覚チョークは、児童生徒の障害の有無にかかわらず、色の識別がしやすいことや、教員にとっても使いやすいことで、教育現場を通じてそれぞれの違いを認め合える社会づくりにつながることにもなるのではないでしょうか。 そこで、教育長にお伺いをいたしますが、カラーユニバーサルデザインの観点から、さまざまな色覚特性を持つ方々にとって色の違いが識別しやすい色覚チョークを公立高等学校に導入すべきと考えますが、県のお考えをお聞かせください。 以上で壇上での質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)三番猪奥議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問は、児童虐待の防止と被虐待児童のケアでございます。まず、虐待防止のための情報の共有、連携についてのご質問がございました。 虐待に関する情報の全てを警察と共有することについては、昨年九月の本会議で答弁させていただいておりますが、慎重に議論を進めないといけない大事な事項であると思っております。 児童相談所は、虐待のリスクがあれば必ず親から子どもを引き離し安全を確保するという大変重い責任を負っています。このため、児童相談所と警察は、虐待に関する重要な情報を共有し、リスクが高まれば連携して躊躇なく一時保護を行うなど、迅速に行動することが必要と考えます。 このため、現在、県、児童相談所、警察の児童虐待の実務者により、具体的な個別事案をもとに情報共有の範囲や情報共有後のお互いの関与を明確化するためのケーススタディーを行っていただいているところでございます。 次に、弁護士の配置でございますが、児童相談所における弁護士配置につきましては、中央児童相談所と高田児童相談所の二カ所のこども家庭相談センターに合計五名の非常勤の弁護士を配置させていただいております。毎日どちらかのセンターには弁護士が必ずおられるという体制でございます。 児童相談所の人的体制の充実につきましては、弁護士のほか、医師や保健師等の医療職の配置も含めて、現在、国において児童福祉法の改正が検討されていますので、この動きを注視し、必要な体制整備に万全を期していきたいと思っております。 被虐待児童へのアフターケアの取り組みについてのご質問がございました。 虐待を受けて児童養護施設に入所したお子さんたちは心に深い傷を抱えておられます。専門的知識を持つ職員による心理的なケアが不可欠だと思います。また、本来、頼れるはずの親と一緒に暮らせない状況から、施設退所後の自立を支える取り組みも重要だと認識をしております。 まず、虐待を受けた子どもの心理的なケアにつきましては、児童相談所の児童心理司が子どもの状況に応じた支援内容を立案し、施設に配置されている心理職員とともに子どもへのカウンセリングを行うなど、子どもの自己肯定感や自尊心の確立、向上に努めていただいております。 また、児童相談所と施設の心理職員が合同で個別事例検討会を定期的に実施し、より望ましい心理的ケアのあり方を検討していただいております。虐待を受けた子どもへのケアの充実と職員の能力の向上に取り組んでいるところでございます。 次に、児童養護施設を退所した後のアフターケアでございますが、県が社会的擁護が必要な子どもの支援の実績を有しておられるNPO法人に委託をし、修学、就職や日常生活を送る上で直面される悩み等の相談に応じるとともに、同じ境遇の子どもさんたちが気楽に集える場所を提供するなど、社会に適応しながら自立した生活を送ることができるような支援をお願いしているところでございます。 さらに、奈良市が児童相談所をつくられる関係で、奈良市との連携方策を検討して協定等にまとめる必要性についてご質問がございました。 現在、県中央こども家庭相談センターは奈良市内にございますが、相談件数のうち約四割が奈良市のケースでございます。これらのケースをスムーズに奈良市に引き継ぎ、児童相談所の一連の業務に遺漏なく対応していただけるよう支援することは、現在、最も重要な課題だと思います。 奈良市が児童相談所を設置されますと、障害や非行など子どもに関するさまざまな相談機能をはじめ、子どもを家庭から離して一時保護する機能、子どもを施設や里親などに養育させる措置機能などの権限が奈良市へ委譲されることになります。そのため、これまで県と奈良市でプロジェクトチームを設置させていただき、児童相談所の体制整備への助言やケース引き継ぎに関する相互協力の検討、委譲業務の洗い出し等を行うとともに、今年度は奈良市職員七名の研修を受け入れてきております。 児童相談所開設後も、県が有する業務経験やノウハウを活用していただけるよう、開設前後の人的協力の方法や継続的なスキルアップの方法、一時保護や施設入所に関しての広域的な調整、加えて、地域住民への周知などについて、開設までの二年間、県と奈良市の実務者で十分協議し、県と奈良市の協力連携協定締結の形に持っていくまで練り上げていくことができればと願っております。 奈良市と奈良県の児童相談所が相互に切磋琢磨をしてレベルの高い児童相談サービスが奈良県で実現できればと願っているものでございます。私に対する質問は以上でございました。
    ○議長(川口正志) 林医療政策局長。 ◎医療政策局長(林修一郎) (登壇)三番猪奥議員から、私には、まず、白血病などの治療に関しまして三つのお尋ねをいただきました。 最初に、若者の献血の促進についてであります。 議員お述べのとおり、少子高齢化の中で将来の献血を支えてくれる若年層の方々の献血は一段と重要となっております。献血ができる年齢に達するのは高校生であり、実際に初めて献血する方は若い世代の方が多いことから、こうした世代の理解や関心を高め、人のために役に立ちたいという気持ちを献血という形で生かす経験をしていただけるよう、若い世代の取り組みに特に力を入れております。 具体的には、平成二十九年度から、県と県教育委員会の協力のもと、日本赤十字社が高等学校での献血セミナーや学校行事にあわせた献血を行っています。また、同じく平成二十九年度から、二十五歳以下の献血者を対象として記念品を用意してキャンペーンを実施しております。こうした取り組みの効果もあり、平成二十八年度まで、毎年減少し続けていた県内の十歳代の献血者数が、平成二十九年度には前年よりも約二〇%増加いたしました。さらに若年層の献血をふやしていくことができるよう、今後とも関係機関とともに取り組みを強化していきたいと考えております。 次に、骨髄移植のドナーの方の経済的・心理的負担の軽減についてのお尋ねでございます。 骨髄などの提供時の身体的な負担だけでなく、仕事を休むことでの心理的負担や経済的負担がドナー登録や提供に至らない一つの要因ではないかというご指摘をいただきました。平成二十八年九月議会での議員のご質問の後、毎年、全国の状況を確認しております。現在、ドナーなどに対する助成制度は全国四百三十七の市町村が設けており、県内では橿原市と天理市が導入をしております。また、市町村の助成に対して十六の都府県がその二分の一を補助する制度を導入していると聞いております。 しかしながら、都府県の補助制度の効果につきましては、先ほど十六と申し上げましたが、そのうち九つの都県で導入年度にドナー登録者と提供者が若干増加しましたが、二年目以降は減少した都府県も九つあるということで、必ずしも増加に結びついていない状況となっています。 県としては、今後とも引き続き他府県の事例をよく研究していくとともに、ドナー助成の実施主体となる県内の市町村ですとか、ドナー制度にかかわる関係者の方々とドナー登録と提供の増加につながる手法や仕組みなどについて十分に意見を交わしていきたいと考えております。 次に、予防接種についてもお尋ねいただきました。 多くの予防接種は、予防接種法に基づき、市町村を主体として行われております。しかし、骨髄移植によって一旦獲得した免疫が低下したり消失したりされた方が改めて予防接種を受ける場合には、予防接種法の対象ではなく任意の接種となり患者負担が発生しているということは認識をしております。 このような場合の患者負担に対して支援を行っている市区町村は、国の調査によりますと、昨年七月時点で全国一千七百四十一のうち九十となっております。本県では、生駒市と葛城市が来年度からの助成を検討しているというふうに聞いております。 一方、患者負担の面だけでなく、万一の副作用に対する被害救済の観点も考えあわせますと、必要な予防接種は国の制度で行われることが望ましく、国にも対応を要望してまいりたいと考えております。 あわせて、他の自治体の動向について情報収集を行いながら、県の関与のあり方も含めて研究をしていきたいと考えております。 次に、不妊治療に対する支援についてのご質問にお答えいたします。 医療の進歩に伴い不妊治療を受ける方は年々増加し、治療には身体的・精神的な負担はもとより、経済的負担も大きいと聞いております。国においては、平成十六年度から体外受精などの特定不妊治療について費用の一部を助成する事業が開始され、県でもこの事業に基づく助成を行っております。平成二十九年度の実績では六百五十七人、延べで一千五十二件の助成を実施いたしました。 この事業では、安全で効果的な治療を支援する観点から、国において不妊治療の支援のあり方を検討され、県もそれに沿う形で助成を行ってまいりました。平成三十一年度の国の予算案に計上されている男性不妊の初回治療費助成の拡充につきましても、本県でも対応できるよう準備を進めているところです。 議員お述べの県独自の助成制度につきましては、国の検討内容ですとか他の都道府県の事例も踏まえ、本県の助成のあり方を研究していきたいと考えております。 また、現在、県では、治療についての正しい知識の普及や、治療期間中の身体的・精神的不安の軽減を目的として、不妊専門相談センターを設置して、助産師や医師による相談を実施しております。今後も、この相談窓口を一層活用いただけるよう、周知にも力を入れてまいります。以上、ご質問ありがとうございました。 ○議長(川口正志) 山下地域振興部長。 ◎地域振興部長(山下保典) (登壇)三番猪奥議員のご質問にお答えいたします。私に対しては、エネルギー政策に関して、今回策定の次期エネルギービジョンで地球温暖化対策の視点をどのように考えているかというお尋ねでございます。 次期エネルギービジョンでは、目指す方向を第二次エネルギービジョンの分散型エネルギーの推進と地域へのエネルギーの安定供給という視点も踏まえつつ、緊急時にも強く、地域のエネルギー資源を使った、エネルギーのかしこい利活用と明確に打ち出しております。また、エネルギーを取り巻く状況は目まぐるしく変化していることから、臨機に対応できるよう、計画期間を三年とさせていただいているところでございます。 現行ビジョンでは、地球温暖化対策の視点も入れ、CO2を排出しない再生可能エネルギーの導入促進や、省エネの推進による化石燃料を使用したエネルギーの利用抑制などに努めてきたところでございます。 今回策定するエネルギービジョンでも、地球温暖化対策の視点を含め、木質バイオマス・小水力などの再生可能エネルギーを活用して地域コミュニティーの活性化につなげる取り組みの推進や、電気自動車・水素自動車の利便性向上のためのインフラ整備の推進に重点を置いております。また、引き続き、省エネ啓発活動の実施などを進めていきたいというふうに考えております。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(川口正志) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)三番猪奥議員のご質問にお答えをいたします。私には、色覚チョークの導入についてお尋ねでございます。 色覚に特性のある児童生徒は、そのことを理由として学びにくさを感じることのないよう、合理的な配慮をすることが必要であると考えております。 県教育委員会では、これまでから、教職員のための研修ハンドブックにおきまして、ユニバーサルデザインの原則の一つでございます、どの生徒にとってもわかりやすいこと、このことを板書においても求めております。そのこともあり、色覚に特性のある教員の協力を得て使用するチョークを選定し、色によりましては、蛍光チョークを使用する高等学校、また、色覚対応チョークを全面的に導入する高等学校など、色覚に特性を持つ生徒にも配慮した取り組みが進められております。 チョークの選定につきましては、全ての県立学校において色覚への対応等を判断基準に入れるべきだと考えております。各学校や初任者等に対しまして色覚対応チョークについての情報提供を行うなどして、より一層、ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりへの意識を高めてまいります。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○議長(川口正志) 三番猪奥美里議員。 ◆三番(猪奥美里) それぞれご答弁ありがとうございました。 まずは、児童養護施設にいらっしゃる子どもさんの心のケアについてお伺いしたいと思います。 ご答弁で、心理職員さんを施設にも配置して心のケアをしていただいているとお聞かせいただきました。先ほど、質問の中でも少し述べましたけれども、もともと、児童養護施設は戦争孤児のための施設ということで、心のケアを主としてやるところではなくて、衣食をしっかり提供して子どもたちが十分育つようにと、施設が設置されました。そこから、国の方でもいろいろなケアを、後追いという形ではありますが、つけていっていただいています。 さて、心に傷を負った子が特に入る児童養護施設の一つの体系であります児童心理治療施設という施設が、全国に今五十カ所ございます。昨年、平成三十年度に四施設が新たにふえまして全国で五十カ所できています。児童福祉法に定められた児童福祉施設で、心理的問題を抱えた子に対して、心理的・環境的に不適応を示している子どもを対象にした施設ということで設置されています。 どういったところにあるのかと見ておりますと、近畿の中で設置がないのは奈良県だけなのです。奈良県以外の近畿圏内のほかの府県は全部持っておられるのです。とすると、奈良県は、今、心理職員さんを国の基準に沿って各施設一名の配置で設置していただいておりますが、こういった特別な施設を持っていない奈良県だからこそ、より一層手厚い専門職の配置が必要なのではないかと思っているのですけれども、まず、この点に関して質問したいと思います。 ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 心理的ケアは能力のある専門的な方に行ってもらう必要があろうかと思いますけれども、人的な配置ということでございます。現在、五施設に六名の心理職が配置されておられますが、今後、そのような人がそれぞれおられるのか、需要といいますか、面談される量に応じて配置をすべきだと思います。節約する意図はございませんが、能力のアップと、そこにいろいろ移動もできますので、二つしかございませんので、児童相談所につきましては、いろいろなところに出かけられる訪問医師のような、訪問心理士のような、また、かかりつけ医師のような、そういうカウンセリング機能を持った人の養成と配置という観点のご質問だと思います。配置についても、実情をよく見ながらしていきたいと思います。 ○議長(川口正志) 三番猪奥美里議員。 ◆三番(猪奥美里) ありがとうございます。一名となってしまいますと、どうしても性別はどちらか片方になってしまうかと思います。訪問した施設では、虐待を受けた子と、例えば性的虐待を受けた子も措置されているかと思います。性的虐待をした同じ性のカウンセラーだと悩みも相談しづらいというのはあろうかと思いますので、よく実情もご調査いただいてご検討いただきたいと思います。 調査ですけれども、アフターケアに関して、一つ、ここもお問い合わせをさせていただきたいです。今、奈良県では大学の進学率は、国の調査で求められているので数値としては出ています。ただ進学率の調査や中途退学の現状は、県としてあまり後追いの調査がないと、ご担当にお話を聞かせていただきました。 最も必要なのは現状の調査、入所したすぐ後どこに行っているかもそうですけれども、五年後、十年後、どんな生活をしているのかというところが非常に重要かと思います。この月曜日、二月二十五日にあった事件も、就職はされたけれども、一年間でお仕事をやめられてネットカフェで生活をしていて住むところもなかったと、そんな状態で生まれてきた社会的な事件だと思ってございます。アフターケア事業を構築するに当たっては、まずは、入られている入所者の方の後追い調査が必要だと思っているのですけれども、知事のお考えをお聞かせください。 ○議長(川口正志) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 議員お述べの事項は、制度のはざまに陥られる方をなくすという観点があると思います。制度のはざまは、児童虐待を受けた被虐待児童というのが、ある時期のショックを受けられた方のアフターケアということになりますけれども、いろいろなステージで児童福祉法を脱却して、その後、では何法で面倒を見てもらえるのだというような観点が要ると思います。福祉国家あるいは福祉が充実した地域というのは、それを公設的に全体としてシステムを考える頭が要るように、私自身は思っています。 国の法律は、福祉についてとても個別になっております。児童福祉法なりいろいろなものが個別になっている。したがって、日本では制度のはざま、すき間というのが必ず発生しております。そのはざまを埋めるのが地方公共団体の役目でもございますし、民間のNPOの方も、そのはざまで落ちてくる人を小さな手で救っておられるような実感をしております。 制度として確立するには、国の意識が横に広がるように、国の意識が広がるのはなかなか難しいのですけれども、法律改正が要ることも多いわけでございます。法律改正を待たないでできるものかどうかということをいつもご質問されるのですけれども、まずは、現場に近いということを利用して、現場の事例の検証が地方は進んでいるよということを心がけていきたいと思います。 福祉の現場をよく見てわかっているよということと、それと、国の法律では県と市町村が分けて仕事をするようにという制度になっておりますが、奈良県では、福祉は県と市町村を一体的にしようと福祉の奈良モデルを提唱しております。そのような考え方が、今後どのような形ではざまを埋めて、平らな福祉の充実した地域になるか、いろいろ工夫が要ると思います。何よりも現場というふうに思っております。これまで現場で活躍されてきて助けをいただいた方々には心から感謝し頭が下がる思いでございますが、県が全てできるところまでなかなかいかない面も実感しておりますけれども、はざまを埋める一助になるような、ネットワークの一助になるようなことを心がけて考えていきたいと思っております。 ○議長(川口正志) 三番猪奥美里議員。 ◆三番(猪奥美里) 後追いの調査をまずしていただくことがいろいろな施策を立てていく上で必要だと思いますので、ぜひとも実態調査を県の方でもお取り組みをいただければと思います。 市の児童相談所ができましたときに、県からも、できた後、派遣があろうかと思います。あった先でも、福祉と子育て支援とがしっかりと連携をとれているか、また、行った職員さんからも持って帰れるように仕組みをつくっていただきたいと思います。以上です。 ○議長(川口正志) 答弁は要らないですね。 しばらく休憩します。 △午後二時四十分休憩    -------------------------------- △午後二時五十八分再開 ○副議長(奥山博康) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、四十一番山村幸穂議員に発言を許します。--四十一番山村幸穂議員。(拍手) ◆四十一番(山村幸穂) (登壇)皆さん、こんにちは。日本共産党の山村幸穂です。 消費税増税、憲法九条改憲、辺野古新基地建設強行と、うそと強権の安倍政権のもとで格差と貧困が広がっています。このようなときこそ、奈良県が住民福祉の基幹としての役割を果たし、希望を持てる地域、暮らしをつくる道を示さなくてはなりません。 多くの県民から、高級ホテルの誘致や箱物建設の開発推進から、暮らし・福祉・教育に重点を置いてほしいと声が上がっています。私たちは、来たるべき統一地方選挙、参議院議員選挙で安倍政治にさようならして、暮らしを守る県政への転換に全力で頑張る決意です。 まず初めに、子育て支援について、大学生等への給付型奨学金について、地域振興部長に伺います。 奈良県の合計特殊出生率は一・三三、全国平均一・四三に比べても低く全国四十三位です。子育て支援を充実して、安心して子どもを産み育てられる奈良県をつくることは、奈良の未来にとって誰もの願いです。県の調査でも、子育てにお金がかかり過ぎることが子どもを産めない理由になっています。とりわけ、大学の教育費の負担が重くのしかかっています。 長野県では、子どもの暮らし実態調査などから、民間企業とも連携して給付型奨学金制度をつくっているとのことです。奈良県でも、県独自に県内への就職を誘導するなどの工夫をして給付型奨学金を実施し、子育て支援を拡充していただきたいと思います。 国でも、返さなくてもいい給付型奨学金を創設しましたが、あまりにも枠が狭く、希望に応えられていないことから、改善を求める要望が強く、国において高等教育無償化制度の創設が議論されているところです。 このような中で、県として、今後どのように取り組んでいかれるのでしょうか。 次に、子どもの医療費助成制度について、医療・介護保険局長に伺います。 子どもの医療費助成制度については、粘り強い運動で内容が拡充されてきました。県の制度も、八月から未就学児の窓口立てかえ払いがなくなり喜ばれております。 また、県の制度では、一カ月当たり一医療機関等につき、通院及び入院で五百円または千円となっている定額一部負担金を免除して、無料または県の基準以下としている市町村が三十一となっています。この際、県の制度として立てかえ払いなし制度の中学校卒業までへの拡充と、定額一部負担金をなくし、窓口完全無料化を求めますが、いかがでしょうか。 次に、安心して受けられる介護について、医療・介護保険局長に伺います。 高齢者の貧困が社会問題となっていますが、今後、高齢化が進む中でひとり暮らし高齢者が増加し、経済的困窮はますます深刻化すると予測されます。奈良県では、国民年金加入世帯割合が全国一高く、四十年かけても受給額は六万四千九百四十二円しかありません。 日本共産党が行った暮らしのアンケートでは、県政に望むことで最も多かったのが、国民健康保険料・介護保険料の軽減、医療費の負担軽減です。困っていることがあると回答した方のほとんどが、保険料が高過ぎる、負担が重いというご意見でした。少ない年金から介護保険料の天引きでやりくりも限界です。老後の暮らしがこんなに大変になるとは思ってもみませんでしたなど、痛切な声が書き込まれていました。 健康格差についての研究が進んでおりますが、健康は経済的・社会的影響を受け、所得が低い層ほど要支援、要介護者の出現率が高くなることが指摘されています。高齢者の暮らしを支える上にも、誰もがお金の心配なく、安心して介護が受けられる制度への改善が待ったなしです。 介護保険制度は、三年ごとの見直しのたびに保険料が上がり、昨年四月の改定では、六十五歳以上の保険料は、基準額が奈良市で五千八百四十円、制度開始から二倍となりました。この間の改悪で、要支援一・二の方は介護保険から外されて市町村事業へ移され、ホームヘルプサービスの利用回数の制限、また、利用料負担が二割にふやされました。特別養護老人ホームが不足しており、希望してもなかなか入れません。 介護を社会で支えると始まった介護保険ですが、本来、責任を持つべき国の財政負担が少なく、保険あって介護なしという根本的な問題があります。介護保険制度の創設にかかわり、厚生労働省の初代老健局長を務めた堤修三氏は、団塊以降世代にとって介護保険は国家的詐欺となりつつあるとまで批判されています。 利用料が倍になって、サービスを減らしたために症状が悪化した、特養に入れず、家族が仕事をやめて介護をしている、貯金が底をつき特養を退所せざるを得ないなどの困難が広がっています。 介護保険の保険料・利用料の負担の軽減を求める声は切実です。介護保険料・利用料の負担軽減のための取り組みを県独自に実施する必要があると考えますが、いかがでしょうか。 次に、流域下水道維持管理費等市町村負担金について、県土マネジメント部長に伺います。 十月からの消費税一〇%への増税は県民の暮らしを直撃します。奈良県でも、消費税増税を見込んで各種手数料や料金が値上げされる条例が提案されています。奈良市では、下水道料金引き上げが検討されているとのことで市民の負担が心配されています。 値上げの背景にあるのが、県下水道事業への市町村負担金の問題です。奈良市の試算によると、平成二十八年度の第一浄化センターにかかる奈良市分の維持管理費は約十七億二千三百万円となりますが、実際の負担金は約二十二億一千九百万円となっており、この負担が過大であり、奈良市の下水道経営を圧迫しており、下水道料金を上げることへの市民の理解を得がたいと説明されています。奈良市議会では、全会一致で県に対して負担金の引き下げを求める意見書が決議されています。 しかし、県は、平成三十一年度の流域下水道維持管理費等市町村負担金は据え置くと決定しました。その理由として、今後の人口減により維持管理負担金が減少し経営難が予測されることから、まずは、経営の合理化を図りたいとのことです。その試算によると、単年度赤字は平成六十二年からの見込みです。今から三十年先のことであり、経営の改善を図ることとあわせて、県としても、繰り入れをふやすなどの対策を行うことも必要だと思います。 公営企業の料金計算の考え方に基づいて算定すれば、奈良市の提案のように市町村負担金を引き下げることができると考えますが、いかがお考えでしょうか。 次に、旧奈良県総合医療センター跡地のまちづくりについて知事に伺います。 県総合医療センターの移転建てかえが発表されてから八年が経過しようとしています。病院移転からも十カ月が過ぎていますが、奈良市子どもセンターなど以外、跡地活用の計画の具体化がされていません。一部、県有地の売却がされるのではとも聞かれます。 二〇一一年に奈良市平松町から七条地区へ移転する計画が発表された当時、県は、健康長寿のまちづくり、地域包括ケアの行き届いたまちづくり、全国でもモデルとなるまちづくりを目指すと述べていました。二〇一六年、十二月議会で知事は、医療・介護、健康づくりの視点から、県民が生き生きと暮らせる健康長寿のまちづくりというテーマで、地域包括ケアの行き届いたまちづくりの実現を目指し、二十四時間、三百六十五日、また、高齢になっても認知症でも障害者でも、誰でも安心して暮らせる町をつくるという目標のために、必要な機能について議論、検討していると答弁されていましたが、この実現はどうなっているのでしょうか。地域の住民からも疑問の声が聞かれます。 とりわけ、地元住民が要望してきた新総合医療センターと連携する充実した診療所について、どうなるのか、疑問と不安の声が強くあります。まちづくり協議会に示された資料では、導入機能の例として、外来診療・訪問診療を実施する診療所が記され、事務局である県も、当初から、医療機能は残したいと述べていました。この約束が守られるのでしょうか。 そこで、知事に伺います。 旧奈良県総合医療センター跡地のまちづくりについて、当初のコンセプト実現に向け、県は今後どのようにかかわり、奈良市とともにまちづくりを進められるのでしょうか。 次に、高畑町裁判所跡地へのホテル建設について、知事に伺います。 県が住民説明会を行って十分説明したと言いますが、工事ありきの一方的な説明で、住民の疑問や不安に答えていません。しかも、二回目の工事説明会では、住民から、多数の質問・意見が出されていたにもかかわらず、会場の閉鎖時間が来たからと言って、質問への回答もなく、工事は予定どおり実施します、と宣言されて打ち切られるという異常なものでした。あまりもの住民の声を聞かない姿勢に怒りが沸騰しております。 二月十二日には、住民が反対の声を上げる中、工事が強行されました。マスコミでも報道されましたが、抗議のやりとりの中で、県は工事を強行するが、住民への説明は改めて実施するとのことでした。この説明はどのようにされるのでしょうか。誠意ある対応を求めます。 そもそも、近隣の住民をはじめ多くの県民が反対しているのは、なぜ厳しい規制があって開発ができない地域に、豊かな自然、景観を壊してまでホテルを建設するのかということです。ホテルを建設することが公園の価値を高めると言いますが、百年の森を壊して木を切ってしまったら取り返しがつかない。既に次々と樹木が切られております。ご覧のように、こちらが切った後ということになっています。木をほとんど伐採すれば景観が変わってしまいます。ホテルの営業は二十年の契約でありますが、二十年後、もとに戻せるかは甚だ疑問です。 特に、住民が不安を募らせているホテルの入り口問題では、誠意ある説明がありません。このように、狭い道路で十トントラックは三回切り返さないと出入りできません。常時これが続くのです。高級ホテルと言いながら、ホテルの出入り口が一カ所しかなく、ごみ収集や業者の車、全室露天風呂つきということで、温泉を運ぶ車両もホテルのお客さんも一緒のところを使用すること自体が疑問です。 住民の自宅の玄関前にあえて入り口をつくることに対して入り口の変更を何度も求めておられますが、県は、名勝の価値を損ねることを理由に変更できないと言います。この問題で文化庁と協議をしたと言いますが、どのような計画を文化庁に示して協議したのか、図面も示されず、全く説明がありません。私も、政府要望で文化庁に行って直接伺いましたが、文化庁は、そのようなことは言っていませんとの答えでした。 国会の質問でも、入り口問題は、近隣住民に対して十分に説明をして、理解を得ながら進めるように指導している。これらを踏まえた計画の変更について奈良県から相談があれば適切に対応してまいりたい、と答弁されています。 このように、最も重要な問題でも住民の納得が得られていません。住民の声や願いに真摯に向き合っていただきたいが、いかがでしょうか。 次に、奈良公園バスターミナルについて、まちづくり推進局長に伺います。 新たに運用が始まる奈良公園バスターミナルについて、奈良市内の渋滞対策に役立つのか、反対に渋滞を引き起こすことにならないのかと危惧する声が寄せられています。 そもそも、この地は、二百六十五台の自動車駐車場として多くの方が利用されていました。また、名勝奈良公園内に位置することから、大きな建物の建設については県民からも反対の声が出ていました。当初の三階建てから景観に配慮して二階建てとなりましたが、これまでの見通しのよかった景観は一変し、予想以上に大きな建物で周囲の景観と調和しません。 バスは十六台しかとまりません。トップシーズンには一日約二百八十台のバスが来ることになります。観光バスは、バスターミナルで一時停車して、乗客をおろした後に高畑駐車場と郡山の上三橋駐車場へ移動して待機するとされています。完全予約制ということですが、この出入りだけでも県庁周辺の混雑が予想されます。 先ほども質問がございましたが、市内循環道路を通って高畑駐車場に移動するとのことですが、途中には市立奈良病院や民間病院もあり、救急車の通行とも重なり、支障が出ないかと心配をされています。市民の暮らしにも大きく影響する交通問題ですが、市民の意見はどのように聞かれたのでしょうか。また、奈良市とはどのような調整を行ったのでしょうか。 また、県庁前からバスターミナルへのバスの進入は、歩道を横切ることになり大変危険です。なぜこのような危険な設計なのでしょうか。バスと、黄色が人の動線です。バスターミナルから東大寺まで歩いて片道十五分、往復三十分かかることになり、バス事業者からも、観光コースの変更をしなくてはならなくなると意見が出されています。奈良の観光の多くが団体バスによるお客さんですが、今後の集客にも影響が出るのではないでしょうか。いかがお考えでしょうか。 次に、史跡纏向遺跡の保存と活用について教育長に伺います。 一九七〇年代から調査が始まった纏向遺跡は、桜井市の粘り強い調査で、とても広大な範囲に及び、日本列島で初めて纏向型と呼ばれる前方後円墳がつくられた地域でもあり、日本の古代国家の形成を解明する上でも重要な手がかりとなる貴重な遺跡であることがわかっています。一部は二〇一三年に国史跡に指定されましたが、現在までに調査はまだ約二%ほどだということです。 桜井市では、発掘調査で解明された歴史的・学術的価値を伝えるガイダンス施設を、多くの方が現地に来て歴史に触れ学べる場所として整備していくことが計画されています。ところが、このガイダンス施設の整備が資金難ということで、延期をされ進まないと不安の声が寄せられました。ガイダンス施設の整備については、保存管理計画の策定や公有地としての買収などと同様に国の支援があります。国における古代国家の形成過程及びその時期の社会のあり方を知る上で重要な遺跡と文化庁が述べているように、これほど重要な遺跡のガイダンス施設をつくるからには、自治体任せではなく国の支援が必要です。県としても政府に働きかけるなど、実現できるよう支援していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 また、広範な地域にわたる遺跡の一部が国史跡として指定されましたが、まだ全体の範囲も確認されていません。遺跡の全体像を明らかにするために、桜井市だけではなく、国や県の調査機関と連携して、試掘調査も含めた基礎調査で範囲を確認することが必要です。そして、現在は大規模な開発などが行われていませんが、今後のことを考えたら、部分だけではなく全体を史跡指定して保存できるようにしていくことが求められていると思います。 日本共産党は、二〇一〇年、纏向遺跡の保全と継承についての提言を発表し、地域の住民とともに協力して暮らしを守り、遺跡と共存して発展していくことができるようにとの立場で関係者にも働きかけてきました。桜井市では、保存管理・整備活用計画の策定をされようとしておりますが、県としては、纏向遺跡全体の保全と継承及びその活用について、どのようにお考えでしょうか、お伺いいたします。 以上で壇上からの質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)ご質問ありがとうございました。迫力ありました。四十一番山村議員のご質問にお答え申し上げます。 私に対しては二つのご質問でございます。 一つ目は、旧奈良県総合医療センター跡地、奈良市平松町の跡地のまちづくりについてでございます。 このまちづくりにつきましては、医療・介護・健康づくりの観点から、近隣住民の方々が生き生きと暮らせる地域包括ケアの行き届いた健康長寿のまちづくりの実現を願っているところでございます。 これまでは、当該地は県有地でございますし県立病院の跡地でございますので、県が比較的主体性を持ってこのような町になればいいということを申し上げてきた面がございますが、その内容は、市民生活、近隣の住民の生活に密接に関連するサービスを提供する町をつくるということでございますので、市民により近い市において基本構想を策定されるほうが近隣の市民にとってよりよいものができるという観点から、最近、奈良市が中心になって検討が進められているものでございます。健康長寿のまちづくりというコンセプトですと市の関与はとても重要なことですので、歓迎をするものでございます。 現在、奈良市において基本構想の策定が進められておりますが、県といたしましても今後、その効果を、現在奈良市で考えておられますコンセプトの実現は、県が当初考えていた方向と一致しておりますので、奈良市と連携を密にし、また、地元とのまちづくり協議会にも県が参加して意見交換を重ねております。多世代の市民の方々へのサービスが行き届いた町になりますよう、県としても今後とも協力をしていきたいと考えております。 高畑町裁判所跡地へのホテル建設についてのご質問がございました。 高畑町裁判所跡地の整備につきましては、平成二十八年三月から、周辺自治会への全体説明会だけで三回開催し理解を求めてまいりました。そして、周辺に十九の自治会がありますが、十九の自治会長のうち十六の自治会長から、ホテル建設に賛成、二つの自治会長から、建設に賛成でも反対でもないという意見をいただいております。唯一反対されている自治会が、辰野さんという方が自治会長を務めておられる山之上町自治会でございます。個別に四回にわたって説明会を開催し、整備内容や工事の進め方についても説明いたしました。山村議員の党の方々もよく参加をされておられます。 山之上町自治会からの要望は、建設の条件についての要望が多かったわけでございますので、例えば、敷地南側の市道を拡幅しないことや、隣接家屋への圧迫感を軽減するため、宿泊施設をさらにセットバックすることなどの要望がございましたので、そのような要望には可能な限り資料を示して対応してまいったところでございます。 最後に残りましたのは、宿泊施設の入り口を東側に設けることでございます。南側の通路の奥には、辰野さんがつくられた保養所が現にあるわけでございますので、どういうわけか、南側の入り口は嫌だと、こういうことが最後に残った条件でございます。 それで検討いたしましたところ、東側の樹林地は、名勝指定理由に挙げられております、瑜伽山の風致林等と一体となった景観とされております。それを保全するため、緩衝緑地として適切に維持管理することを奈良公園地区整備検討委員会に諮って決定されたエリアでございます。整備内容について、平成二十九年六月に文化庁から現状変更許可を取得しているものでございます。 また、平成三十年一月に文化庁と協議を行いましたところ、相応の土地の掘削を伴って土地形状の変更度合いが大きくなるということから、東側への入り口の変更は名勝に与える影響が大きいとの意見をいただいております。当初計画のとおり、入り口を辰野さんの保養所のそばにあります南側に設けることを平成三十年四月の第二回説明会で説明いたしました。 その後、平成三十年十二月の第三回、今年二月の第四回説明会でも、これまでの説明に加え工事中の配慮事項等の条件も出されましたので、説明をいたしましたが、最終的な理解を得るには至っておりません。結局、最後は、ホテルの建設自体に反対だという一言だけでございました。 現在、県と民間事業者は、近接する方々と事前家屋調査の実施に向けた調整を行っております。今後も、工事や開業後の運営に当たり、周辺の住民の方々に対して誠心誠意対応していきたいと思っております。賛成される住民の方もたくさんおられますので、仲よくしていきたいと思っております。 私に対するご質問は以上でございます。ご質問、誠に感謝を申し上げます。 ○副議長(奥山博康) 山下地域振興部長。 ◎地域振興部長(山下保典) (登壇)四十一番山村議員のご質問にお答えいたします。 私に対しましては、子育て支援に関連して、国の高等教育無償化制度創設の動き、これに呼応して大学生等への給付型奨学金に対する県としての今後の取り組みについてのお尋ねでございます。お答えいたします。 大学生等に対する経済的な支援については、今国会に、大学等における修学の支援に関する法律案が提出されており、法案の成立により、高等教育無償化制度が創設されることになります。この制度は、低所得世帯の者であっても大学等への修学を可能とする、授業料等減免制度の創設と給付型奨学金の大幅拡充を柱とし、二〇二〇年四月からの実施が予定されております。 県としては、国制度の円滑な導入が図られ、広く活用されるよう、所管する私立専門学校に対し説明会を開催するなど、制度周知に努めてまいりたいと考えております。また、本県では現在、奈良県立大学における成績優秀な学生を対象とした給付型奨学金制度のほか、県内での就労等を条件に返還を免除する文化芸術振興奨学金制度などを設けております。 今後は、導入される高等教育無償化制度を着実に運用していくとともに、国制度の運用実態などを検証して、県で既に制度化している現行の大学生等への給付型支援のあり方を検討してまいりたいと考えております。 以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(奥山博康) 西川医療・介護保険局長。 ◎医療・介護保険局長(西川浩至) (登壇)四十一番山村議員のご質問にお答えします。私には、二問の質問をいただいております。 まず第一点目は、子どもの医療費助成につきまして、立てかえ払いをなくす制度の拡充、それから、定額一部負担金の廃止についてのお尋ねです。 地方公共団体が独自に実施しております医療費助成について、医療機関の窓口での支払いが不要となります現物給付方式を行った場合、国において国民健康保険の国庫負担金が減額されることになっておりますが、国が未就学児までを対象に減額調整措置を廃止したことを受けまして、本県では、全市町村の合意のもと、本年八月診療分から未就学児までを対象に現物給付方式を導入することといたしました。国民健康保険の運営にとりまして、国庫負担金の確保は極めて重要であることから、現時点で減額調整措置の対象となる中学生まで現物給付方式を拡大することは想定しておりません。 次に、定額一部負担金についてでございますが、子どもの医療費助成は、医療保険制度におきまして、未就学児では二割、小中学生では三割となっている自己負担について、子育て支援や経済的支援の観点から、その一部を助成し負担軽減を図っているものです。 そうした中で、定額一部負担金は最低限の負担金として制度化しているものであり、これを廃止した場合に必要となる財源は、現行制度の約一・五倍となる年額約十八億円へ膨らむと見込まれますことから、福祉医療制度を将来にわたり持続可能で安定的な制度とする観点からも、定額一部負担金は必要と考えております。 二点目のご質問は、介護保険の保険料・利用料の県独自での軽減についてのお尋ねでございます。 介護保険におきましては、保険料は所得に応じて段階別に設定され、利用料も所得に応じまして費用の一割から三割の負担区分があり、所得の低い人に配慮した制度設計となっております。また、保険料については、公費の追加投入による低所得者の負担軽減、災害や失業の際の減免、利用料については、所得に応じた負担の上限設定、施設入所の場合の低所得者の食費や居住費の軽減等が講じられております。 こうしました負担の軽減制度に加えまして、本県におきましては、給付の側面からの取り組みにより、県民負担の抑制を図ることが重要と考えております。このことから、制度の本来の目的であります高齢者の介護予防、自立支援、要介護状態の軽減・重度化防止に向けまして、介護サービスが過不足なく提供されますよう、ケアプラン点検の推進、要介護認定の適正化・標準化などの介護給付の適正化の取り組みを推進しているところです。 このように、本県としましては、負担と給付の両面において、関係法令で定められたルールに従い、制度を適切に運営することとしております。議員のご主張が、国・県・市町村の負担が制度化されている上に、ルールを超えて県が税金等により保険料や利用料を肩がわりせよということであれば、それは保険制度としてふさわしいことではないと考えます。 今後も、将来にわたり県民の皆様が安心して介護サービスを受けられるよう、保険者である市町村とともに、介護保険制度の円滑な運営と給付の適正化の取り組みに努めてまいります。以上でございます。 ○副議長(奥山博康) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私には、流域下水道維持管理費等市町村負担金についてのご質問がございました。 流域下水道の維持管理に係る支出は、処理場の運転管理費、修繕費等の管理費用と、管路や処理場整備のために借り入れた県債の元利償還金で構成され、収入は市町村の維持管理負担金と県の一般会計繰入金等が充てられています。 維持管理負担金単価の算定に当たっては、短期的な視点に加えて、中長期的な観点からも収入と支出のバランスを検討する必要があると考えています。収入は、将来的な人口減少に伴う処理水量の減少による減少が見込まれます。一方、支出については、老朽化した施設の増加による更新費の増大や起債償還費の逓減等を勘案することとなりますが、長期的には、人口減少の影響が大きく単年度収支が赤字に転じることが見込まれます。 県としては、短期的には単年度収支が黒字の見込みですが、中長期的な観点から支出削減に資する経営の合理化が重要と考えており、今回は、現行単価を二年間据え置くことで関係市町村に意見照会を行いました。 意見照会に対して、奈良市等から負担金引き下げの意見があり、その他市町村から、今後の引き下げ検討要望もあわせた上で、今回の据え置きに同意するとのご意見もいただきました。これらの意見を踏まえ、負担金単価は据え置き、近年は二年ごとに見直しを行ってきた期間を一年とし、経営の合理化を継続して検討することとしています。 今後も、市町村とさらに密に意見交換できるように検討体制を充実し、市町村の実情もよく把握の上、共通認識のもと議論したいと考えています。以上です。 ○副議長(奥山博康) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)四十一番山村議員から私には、奈良公園バスターミナルについて、一点目が、市内循環道路の交通問題、二点目が、バスの進入路に歩道を横切るが危険ではないか、三点目が、東大寺まで遠くなり観光コースや集客に影響が出るのではないかとのご質問でございます。 奈良公園バスターミナルは、観光バスの乗降場であり、空車になったバスは高畑駐車場や上三橋駐車場へ回送します。これらの回送ルートにつきましては、周辺の交通状況を踏まえ、県警察とも協議を行った結果、幹線道路を経由するルートに定めました。 高畑駐車場を駐機場として利用するバスは全体の三割程度を想定しており、回送ルートが最も混雑する十七時台におきまして、ルート上を走行するバスは、往路・復路合わせても六台程度と少なく、交通に影響を与えることはないと想定しております。今後、ターミナルの供用開始後の交通状況に注視してまいりたいと考えております。 また、バスターミナル進入路の歩道横断部につきましては、交通誘導員を配置し、歩行者の安全に十分配慮し、スムーズな誘導を行います。 次に、現在、奈良公園をバスで訪れる多くの観光客は、滞在時間が短く、奈良公園の魅力を十分に満喫されておられないように思います。このため、まず、バスターミナルの展示施設やレクチャーホールで奈良の魅力をあらかじめ知っていただいた上で、ゆっくりと奈良公園を散策していただきたいと考えております。 この奈良公園バスターミナルの供用を契機に、これまでの短時間の観光スタイルから長時間滞在型へ、さらには宿泊につながることを期待しております。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(奥山博康) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)四十一番山村議員のご質問にお答えをいたします。 私には、纏向遺跡の保存と活用について、ガイダンス施設の整備や県としての保存・活用の考え方についてお尋ねでございます。 纏向遺跡は、三世紀から四世紀にかけての国家の形成期に当たるヤマト王権の政治的中心地と位置づけられており、平成二十五年にその重要性から約一万平方メートルが国史跡に指定をされております。 事業主体である桜井市が平成二十七年度に保存活用計画を策定し、平成二十八年度から整備事業に着手しているところでございます。議員お述べのガイダンス施設につきましても整備が計画されております。 これらの整備事業は国と県からも補助を行っているところでございますが、当該遺跡をはじめ、県内の多くの市町村等において、近年、国庫補助の配分が低下し、事業内容の大幅な変更や完成時期の先送りが発生いたしております。そのため、県では政府の予算編成にあわせ、文化財の保存・整備に対する財政支援の強化について要望を行っており、補助金総額の増額などを働きかけております。 また、当該遺跡の保存管理・整備活用計画策定委員会に、県教育委員会がオブザーバーとして参加して支援をしてまいりました。桜井市からは、今後も積極的な取り組みを継続する予定であると聞いており、委員会に参加をし、しっかりと支援することが必要だと考えております。 県では、保存と活用の一体的な施策推進に向けた体制の充実のため、今年四月に文化財保存課及び文化財保存事務所を知事部局に移管する予定でございます。文化財は地域の光となる公共財であり、多くの人が深く理解し、守り楽しめるようにすることが重要だと考えます。このことについてもしっかりと知事部局に引き継ぎ、桜井市と協力して、重要な纏向遺跡の保存と活用を図っていただきたいと考えております。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) お答えいただきました。意見と再質問をしたいと思います。 一点目は、介護のことでございますけれども、今、医療・介護保険局長から、給付の面で県は当たっていくというふうに言われましたけれども、今のお話ですと、給付を抑制することにつながっていくということで、ますます受けにくい制度になってしまい、全く県民の実情に合わないというふうに思います。 介護保険そのものは、もっぱら、保険をかけている皆さんの保険料に依存しているという制度の矛盾があるわけで、そこから見直していくことがまず必要だというふうに私は思っておりますし、そういう状況がどれほど県民の負担になっているのかという暮らしの実態というものをしっかりと調べていただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、下水道の料金の負担金のことですけれども、これは、通年、二年ごとの見直しのところを、市町村からの意見もあって、今回、一年の見直しにされたということで、一部期待できる面もあるのではないかと思っているのですが、そういう意味において、市民に直撃をしていくような、料金にはね返るということも検討していただきまして、県の努力を求めておきたいというふうに思います。 次に、病院跡地のことでありますけれども、これは、住民から見れば、県のかかわりが後退しているのではないかというふうに映っていると。先ほど知事が述べられた、市町村が市民の暮らしに一番かかわっているということで最も責任を果たさなくてはいけない立場にあるということは私もよくわかりますし、そのとおりだというふうに思っておりますけれども、しかし、全国でも例のない新しい取り組みであります。そして、県議会でも特別委員会などをつくって視察や勉強会を重ねて議論してきたこれまでの経過もあります。県が積極的に取り組んできたからこそ、いろいろな意見、アイデア、コンペなどでも出されてきた経過もあります。市町村の限りある財政ということから考えましても、今後も、県のイニシアチブ、役割は非常に大きいと思いますので、その点、お願いしたいというふうに思います。 次に、再質問ですけれども、まず、バスターミナルの問題ですが、先ほどの答弁で市民の暮らしにかかわる交通問題について奈良市民や奈良市の意見をどのように聴取したのかと、どういうふうに協議をしてきたのかということをお聞きいたしましたが、そのお答えはありませんでした。その点はいかがですか。 ○副議長(奥山博康) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) 沿道に救急告示病院や中央消防署等々があるのは承知しておりまして、池田議員のときにも質問がございましたけれども、交通状況に影響を与えることはないとはしているのですけれども、今後、周知を図っていきたいというふうには考えております。以上でございます。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) 私は、こういう市民の暮らしに直接かかわる交通問題について、奈良市や、また、市民の意見を聞いたのかどうかということを聞いたのですけれども、その答えはありませんでした。ということは、聞かれなかったというふうに解していいということですか。 こんな重要な問題を、地元の自治会ですとか、あるいは、近隣に住んでおられる皆さん、また、奈良市の意見も聞かずに決めていくということは大変問題だと思います。是正していただきたいと思います。 通行量は少ないというふうにおっしゃっていますけれども、ピーク時にはかなり多くなると思いますし、現状でも、市内循環バスが両方にとまって、その後ろにつながる自動車というのは、ある程度渋滞を起こしている状況というのは常時あります。そういう中を救急車が走っているわけです。大変危険な状況になっているわけなのですけれども、そういう実態があるにもかかわらず、そういう意見を聞かずに進めていくということは理解しがたいことというふうに思います。 次に、高畑のホテルについてお伺いしたいと思います。知事は、近隣の皆さんと仲よくしたいというふうにおっしゃられました。 そこで伺うのですけれども、先ほど、このパネルを見ていただきましたが、直近、入り口の本当に正面に玄関がある住民の方がいらっしゃいます。このように、大型のトラックが常時、一日に何十台も、十トンばかりではありませんけれども、入ってこられて、三回も切り返しをしないと出入りできないというふうな状況になって、大変、精神的な苦痛など、さまざまなことを訴えておられます。このような事態になるということで、何とかこれを軽減してほしいということを説明会で説明を求めたにもかかわらず、一方的にその話を打ち切って工事を始めたということで、私は非常に怒りに思っているのですけれども、知事はこういう状況を見てどのように思われるでしょうか。 ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 説明の詳細は、私は随分聞いているのですけれども、少し違う印象を持ちました。いつも山村議員や山村議員の党がおっしゃるようなのと、職員が説明した内容、その感覚は少し違うように思う。それは、皆さんの前で言っておきたいと思います。 詳細をここで、こう言った、ああ言ったと言ってもいいのですけれども、そういうための本会議ではございませんので、違う意味があるということだけを申し上げます。 また、工事車両については議論がございまして、工事車両があまり頻繁に出入りするのは困ると、当然のことでございますので、それは、当然、事業者と住民との調整事項でございますので、工事車両をどこにとめる、何時から何時までどのくらいになる、詳細な説明をしたと聞いております。一方的というのは主観的な言い方かと私は印象を持ちました。客観的にどのように説明したのかと、いかようにでも一方的だと言うことはできますので、私は、詳細に一々どんな説明を、工事車両にしろ看板にしろ、工事の仕方についての説明は、当然、工事者はしなければいけませんので、そのことについて、一方的にできるわけではございませんので、詳細に説明したというふうに私は聴取しております。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) 知事がどのようなご報告を受けたかわかりませんが、私は、直接、説明をお聞きいたしました。そこでのやりとりもお聞きいたしました。住民の方からは、長時間にわたる工事であるとか夜間の工事であるとか、あるいは、一日の台数であるとか、これをもっと軽減できないか、でき上がりの期日を決めずに、少々時間が延びても、そういう住民の暮らしに配慮したやり方ができないのかということでお聞きをして、それに対して回答がないのに打ち切られて、後日、要求書という形で地元の方が出されたけれども、それに対して説明すらないという状況です。これで本当に丁寧にやっているとはとても私は言えないというふうに思います。 それから、入り口の問題についてですけれども、住民は、変更を検討しましたが無理だというふうに、県の説明について、図面も示されず、どんな案が検討されたのか、説明がないということで納得できないとずっと言われております。このことについては文化庁が判断をするという立場であるならば、きちんとした現状変更申請を出されて、それに基づいて文化審議会で適否を判断する、そういう仕組みがあると思うのですけれども、ただ、担当者が相談してこう言ったということではなく、正式な判断を求めたかどうかということについはどうなのか。その点を伺っておきたいというふうに思います。 ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 職員が説明した内容について、私がつぶさに報告を受けているのと山村議員が現場で聞いたのと、印象は違うということでありますけれども、結局、先ほど申し上げましたように、周辺自治会十九のうち十六が建設してもよいという状況の中で、唯一反対されている、そばに住んでおられる辰野様が自治会長をしている、自治会長がこういう工事はどうかとこう言っておられる状況でございます。その点が、まず、前提でございますけれども、一人でも反対したらどうなのかと。近隣の方ですので十分な説明が要ります。 そもそも、反対ということについては、なかなか、どうして、そういうことがお嫌いなだけかと思いますけれども、現実に迷惑が発生するのは除去しなければいけない。当然でございますけれども、思っております。 いろいろな、こういう迷惑がかかりそうだ、かかりそうだ、かかりそうだということについて、現実に説明した内容をつぶさに私は報告を受けて、そういう説明でも納得されないのかというような印象でございます。 先ほど申し上げましたように、そういう条件がどんどん出てきますと、条件がクリアできたらいいのかと思うと、最後に、いや、結局反対だとおっしゃると、それは、またもとに戻ってしまいますので、そういう状況にならないように、それを十分説明していないとおっしゃる。これだけの説明をしてきているのを私は知っておりますので、そのことは皆さんに知っていただきたいというふうに思います。大変主観的な、感じ方が違う、そもそも反対の方と、何とか庭をきれいにして奈良公園のアメニティーを改善したいという思う者の意識の違いが根底にもちろんあると思いますが、また、山村議員も、いつもこのようなことに反対をされ、あとのバスターミナルでもいろいろなところでも、でき上がってみると、これも、でき上がってから反対されると反省が生じると思いますけれども、でき上がると反対されませんので不思議だと思うのです。そうしますと、でき上がってからも反対するのだとおっしゃっても実は困るのでございますけれども。事前の議論は、当然、尽くさないといけませんけれども、今、工事の内容はどうなのかということを十分説明したと、繰り返しの答弁になっておりますけれども、そのように思っております。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) 繰り返しの答弁で、現状変更申請をされたのかどうか、入り口についてですね。そのことについてお答えがありませんでしたが、いかがですか。 ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 先ほど文化庁の観点でございますでしょうか。文化庁の変更許可、はい。 それは、文化庁の変更許可をもらったと聞いております。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) 私がお聞きしたのは、文化庁に入り口の現状変更申請をしたのかということであります。 ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 申請がそもそも要るのかどうかわかりませんけれども、私の受けた経験で行きますと、名前を上げたら本人に失礼ですけれども、宮田文化庁長官から私に直接電話があったのです、いつのことか。これは、ちゃんとできるから、という電話でありましたので、それほど心強いことはないと私は思っております。 だから、基本的に文化庁は賛成だということを、その都度、事務的なことも聴取しておりますが、私は、直接受けておりますので、強気の発言を繰り返しているかもしれませんが、そのような経験があるということも申し添えさせていただきたいと思います。 最後に残った問題と言いました、塀の、今、飛火野のほうに入り口をつけるのか、辰野さんの保養所があるほうに、それも、道に寄ったほうですけれども、離れたところにあるのか。セットバックは実現するようなことでございますけれども、そのことについて、変更の申請、今のお話は、いや、県はそういうことをしないと言っているのだから変更の申請をすること自身はおかしいことではないでしょうか。そういうことをしてはいけないと文化庁とか関係が言っているので変更の申請をしていないということだけのように思いますけれども。東側につける変更の申請をしたのかということは、いや、そういう気はありませんからというお答えをしておりますので。 ご質問は、東側に門をつけかえる変更の申請をしたのかというご質問で間違いはございませんでしょうね。 ○副議長(奥山博康) 四十一番山村幸穂議員。 ◆四十一番(山村幸穂) 時間がありませんが、入り口の問題については、住民が何度も変更してほしいと、このことを強く申し入れをしてきたことであります。 今、宮田文化庁長官から電話をもらったからできるというふうにおっしゃいましたけれども、文化庁の決まりでは、文化審議会できちんと審査をされた上で決定される問題です。恣意的にそんなふうに決められるなんてことは、とっても理解できないことだと私は思います。 説明につきましても、住民が疑問に思って現実に困っていることについてどうしていただけるのかということがなしに、説明した説明したと言われても、今困っている人はどうしたらいいのですか。そんな、おかしいではありませんか。文化庁に現状変更もせず、工事についても、切実な要望にも耳を貸さず、そして、強行している。今、住民の皆さんは裁判に訴えておられます。ですので、断固、この工事は中止をして裁判の結果を待つべきだというふうに思います。私は、この問題は知事選挙の大きな争点になると思っておりますので、全力で頑張っていきたいと思います。 以上、申し上げて終わります。質問終わりです。 ○副議長(奥山博康) 次に、一番亀田忠彦議員に発言を許します。--一番亀田忠彦議員。(拍手) ◆一番(亀田忠彦) (登壇)橿原市・高市郡選挙区選出、自由民主党の亀田忠彦でございます。 質問に入ります前に、本日も多くの支援者の方々に傍聴にお越しいただきました。特に、きょうはお天気が悪い中、出にくい状況にもかかわらずお越しくださったことに、また、平素からのご支援に改めて感謝を申し上げます。 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。本日最後の質問となります。お疲れのことと存じますけれども、どうぞ最後までよろしくお願いを申し上げます。 それでは、まず初めに、文化財の保存と活用の一体的な取り組みについて知事にお伺いいたします。 文化財という言葉を聞くと、奈良県にまさる都道府県はないと言っても過言ではないほど、奈良県は国宝の建造物、彫刻の件数が全国最多を誇り、文化財の宝庫として名高い県と言えます。平成三十一年二月一日現在で、国宝では、県内で二百三件、全国では一千百十六件となり、奈良県の占める割合は一八・二%と約二割弱が指定されています。国宝と重要文化財を合わせると奈良県内で一千三百二十七件が指定されており、全国の指定数一万三千二百三十二件の約一割が県内に存在することになります。 また、特別史跡や特別名勝、重要無形文化財や重要伝統的建造物群保存地区なども加えると、その指定数はさらに多くなります。日本国発祥の地であり、世界遺産に指定されている地域が三つあることも、文化財といえば奈良県ということをあらわしているといえます。 奈良県は文化庁とも連携し、これらの文化財の保存に力を入れておりますが、この豊かな文化財を活用することで、国内外からの多くの誘客につながっています。平成二十九年の観光客数は四千四百二十万人で前年比十三万人、〇・三%の増となっています。平成二十五年と比較すると八百七十三万人、二四・六%の増となっており、冬季や観光閑散期における文化財や史跡を活用したイベントの企画などが大きな効果としてあらわれていると考えられます。そして、これまでの懸案であった奈良県内の宿泊施設が少ないと言われた問題も、二〇二〇年のJWマリオットホテルをはじめ、高畑町裁判所跡地や吉城園周辺地区の整備において国際級ホテルなどが完成する予定と聞いています。 このように、これまでの通過型の観光から滞在型の観光へ大きく転換し、多くの観光客に宿泊していただくことで県内消費にも好循環が生まれてくると思われます。平成二十九年の一人当たりの観光消費額は、日帰り客が四千七百三十一円、宿泊客が二万四千四百八十四円とかなりの差があります。滞在型の観光を推進していくことで地域振興やまちおこしにも大きく影響があると思われます。 また、古都奈良の魅力を世界に向け発信し誘客を促す手段として、海外におけるプロモーションも積極的に行っておられます。本年は、フランス・パリのギメ東洋美術館において、県が誇る国宝級の仏像を展示する古都奈良の祈り展が三月十八日まで開催されており、また、十月からはイギリス・ロンドンの大英博物館においても、奈良の仏像展示を開催することになっています。県内から国宝二点、重要文化財四点をはじめ、二十点程度の展示を予定していると聞いています。奈良の文化財を海外で展示することで、奈良への関心を高めてもらい、その結果、奈良へのさらなる誘客促進が期待されます。これらの誘客促進に向けた取り組みを可能とするのは、奈良県内に豊富な文化財が数多く存在するとともに、日本の歴史文化を象徴する文化財の発掘・調査及び保存に積極的に取り組んでいるからだと思います。 私の選挙区であります橿原市では、特別史跡藤原宮跡や本薬師寺、神武天皇陵や神武天皇をご祭神とする橿原神宮、さらには、新沢千塚古墳群など、また、明日香村には高松塚古墳やキトラ古墳、飛鳥坐神社や飛鳥寺など、ほかにも数多く点在する文化財や史跡があります。高取町においても、日本一の山城としてテレビで紹介された高取城、そして、土佐街道、また、与楽古墳群など、考古学や歴史のファンでなくてもこの歴史遺産にふれ、遠く古代へ思いをはせる、そんなロマンがあふれているところです。 また、奈良県において建造物修理を担う文化財保存事務所があります。法隆寺出張所、唐招提寺出張所、薬師寺出張所、當麻寺出張所と、私の地元でもあります橿原市今井町の称念寺出張所の五カ所において本格的な保存・修理が行われております。その中でも、室町時代後期から今井町の中核となった寺院であり、明治天皇がお泊まりになられた今井町を象徴するお寺、称念寺においては、住職をはじめ、檀家総代さんや役員の皆様の並々ならぬご努力もあって、平成二十二年から約二十億円をかけ改修工事が進められています。その工事は、素屋根を設置し、手作業にて瓦や土壁を落とす解体工事を進めながら、平成三十四年の完成に向け工事が進められており、現在は素屋根の一部が外れ屋根の一部が見られるまでになっています。私も解体工事の途中に見学をさせていただいたことがありますが、一つ一つ手作業で解体を行っている現場を見て、文化財の修理や調査には相当な根気と繊細な作業が必要とされることを実感いたしました。まさに職人技と言えます。 五百件を超える伝統的な建物を有することで名高い橿原市今井町の重要伝統的建造物群保存地区ですが、その象徴としての称念寺が改修されることは、今井町にとっても観光客誘致に拍車がかかることになります。今井町だけでも世界遺産に登録されるだけの価値があると、かねてから私は思っておりますが、称念寺はもとより、町家の修景事業も年々着々と進んでおり、電線地中化も含めると本当にタイムスリップしたようなすばらしい景観になっています。そして、そこに生活している人々が長きにわたって守ってこられた文化や風習などが重なり、ハードとソフト両面の保存・活用が進みつつあります。 さて、文化財は、今まで述べたように、保存することと活用することでその価値は広く周知されることになります。現在、県の所管は、保存については県教育委員会文化財保存課が、活用については地域振興部文化資源活用課がそれぞれに担っておりますが、今回の地方教育行政の組織及び運営に関する法律の改正を受け、奈良県では文化財保護事務を知事部局へ移管されることになりました。 そこで、知事にお伺いいたします。 文化財行政のさらなる振興を図るため、保存と活用の連携強化が必要と考えますが、どのように取り組んでいかれるのか。また、一体的な取り組みによる効果についてお聞かせください。 次に、健康寿命日本一に向けた取り組みについて、医療政策局長にお伺いいたします。 健康寿命とは、WHOが二〇〇〇年にこの概念を提唱し、平均寿命から日常的・継続的な医療・介護に依存して生きる期間を除いた期間が健康寿命とされています。平均寿命は寿命の長さをあらわしており、平均寿命に対する健康寿命の割合が高いほど暮らしの質が高いと評価され、結果として医療費や介護費の削減に結びつきます。いわゆる健康で長生きするという人類普遍の願いを達成することを目指していく中で重要なものが健康寿命ということになります。 奈良県も、平成二十五年になら健康長寿基本計画を策定し、平成三十四年度までに六十五歳時の健康寿命を男女とも日本一にすることを目指し、データを活用したエビデンスに基づく効果的な取り組みを進めております。奈良県の順位は、男性が、平成二十五年は十三位でしたが、平成二十七年以降平成二十九年まで三位と上位をキープしています。一方、女性は、平成二十五年の四十一位から、平成二十八年に十八位と年々順位を上げてきましたが、平成二十九年は三十三位となっており、前年より順位を下げる結果となっています。しかし、それだけ女性は僅差での競争のあらわれで、少し数値が変わると順位に影響がある。言いかえれば、頑張って取り組んだ分は結果としてあらわれるということだと思います。 奈良県が行った健康長寿に寄与する要因等研究事業報告書によると、改善すれば健康寿命が延びるものとして、男性・女性ともに塩分摂取量と身体運動が上位に上げられています。これらを踏まえ、奈良県としては、特に運動と食事、食事の中でも減塩対策に取り組んでこられました。 運動の推進については、私の選挙区でもあります橿原市の近鉄百貨店内に、また、北葛城郡王寺町のリーベル王寺にそれぞれ健康ステーションが設置されています。橿原市の健康ステーションでは、大変好評で利用者も多く、当初設置した近鉄百貨店の六階から二階へ場所を移動し、さらに利便性がよくなったと聞いています。健康ステーションで健康チェックをしてもらい、その後、近鉄百貨店で買い物をするなど、お出かけする習慣をつけることにより、歩くこと、いわゆる運動することに結びついている結果だと言えます。平成三十四年度には健康寿命日本一を目指しているわけですが、残りの期間、さらなる取り組みの強化が必要かと思います。 そこで、医療政策局長にお伺いいたします。 健康寿命日本一に向け、健康ステーションの拡充や減塩対策の強化が必要と考えますが、今後の取り組みについてお聞かせください。 次に、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地招致について、くらし創造部長にお伺いいたします。 本年も、年明けからスポーツにまつわるさまざまなニュースが続きました。箱根駅伝で青山学院大学の五連覇を阻止し東海大学が初優勝。大学ラグビーでは、帝京大学の十連覇を、私の母校でもあります奈良県の天理大学が阻止。初優勝を目指した決勝では明治大学に負け惜しくも準優勝に終わりましたが、大健闘でした。 また、大相撲の稀勢の里、レスリングの吉田選手など、一時代を築いた名選手が引退するニュースも続きました。また、テニスの大坂選手が四大大会で二連覇を達成。フィギュアスケートや卓球なども含め、この二ヶ月ほどの間はスポーツにまつわる話題がめじろ押しでした。 質問の折に繰り返し申しておりますが、スポーツは、する人も見る人もどちらにとっても夢や希望、感動を与えるものです。選手一人ひとりの背景にはそれぞれにドラマがあり、トッププレーヤーとして活躍できる選手だけではなく、予選で敗退、また、途中で挫折した人など、または、その家族、親戚、友人なども含めると、スポーツとかかわりのない人はいないのではないかと思うぐらいに日本国中に根づいているものと言えますし、人々の生活にも密接にかかわっているものがスポーツだと言えると思います。 さて、そのスポーツの祭典と言われる二〇二〇年の東京オリンピック・パラリンピックがいよいよ目前に迫ってまいりました。二〇一九年がラグビーワールドカップ、二〇二〇年が東京オリンピック・パラリンピック、二〇二一年が関西ワールドマスターズゲームズと、この三年間は世界のビッグスポーツイベントが日本で、また、関西で開催されます。世界最高峰のプレーが間近で見られるまたとない機会でもありますし、日本という国を、また、奈良県という地域をPRするのにも大きなチャンスと言えます。 先日から報道にもありましたが、東京オリンピック・パラリンピックのメーンスタジアムである国立競技場のビップルームの内装材に奈良県産の木材が使用されるとのことです。多くの海外からの国賓クラスが使用するビップルームで県産材の魅力を直接感じてもらえる絶好の機会となりますし、販路拡大にもつながることになります。 このことを見ても、スポーツがアスリートのためだけではなく、青少年の健全育成に、愛国心や人を思いやる気持ちなどの道徳心に、さらには、観光振興や地域振興にも波及する効果もあり、スポーツ振興は限りなく可能性を秘めているものであると思います。 東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地として、ウクライナの陸上チームが橿原市の県立橿原公苑陸上競技場、エジプトの柔道チームが天理市の天理大学柔道場、そして、香港の水泳チームが大和郡山市のスイムピア奈良にてキャンプを実施することが発表されました。 また、オーストラリア女子サッカーが奈良市の鴻ノ池陸上競技場、ならでんフィールドで、カザフスタン女子バレーが橿原公苑第一体育館、ジェイテクトアリーナにおいて、予選を突破し本選に出場した場合はキャンプを実施する可能性があると聞いています。 先日は、カザフスタンの女子バレーチームが橿原公苑第一体育館、ジェイテクトアリーナで練習され、地元の学生とも交流を行い、非常に好評であったと聞いています。若い世代が受けた刺激は将来大きな糧になっていくと思います。そのことからも、世界のトッププレーヤーがそれぞれの地域で本大会に向けてトレーニングをすることは地域振興や国際交流にもつながっていくと考えられますし、この機会を最大限、かつ、有意義に活用するためにも、受け入れ体制の準備を念入りに進めていただきたいと思います。 そこで、くらし創造部長にお伺いいたします。 東京オリンピック・パラリンピックに向け、県内三市においてキャンプの受け入れが決定しましたが、キャンプ受け入れに関する県の今後の取り組みについてお聞かせください。 次に、京奈和自動車道橿原北インターチェンジから橿原高田インターチェンジ間の整備について、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 京奈和自動車道は、京都、奈良、和歌山を結ぶ全長百二十キロメートルにも及ぶ高規格幹線道路として整備が進んでいます。平成十六年三月に橿原市曽我町から新堂町間の一般部一・三キロメートルが、また、平成十八年四月には郡山南インターチェンジから橿原北インターチェンジ間の七・八キロメートルが開通しました。どちらの開通式典にも参加させていただきましたが、奈良県を南北に貫く高規格幹線道路の供用に興奮したことを覚えています。郡山南インターチェンジから橿原北インターチェンジ間は、走行時間が七分強と大幅な改善が見られ、物流などを含めた経済効果はとても大きなものだと考えられます。しかも、無料で利用できることが利用促進にもつながっていると思います。そして、平成二十九年八月には御所南インターチェンジから五條北インターチェンジ七・二キロメートルが暫定二車線で開通し、これにより、橿原高田インターチェンジから五條北インターチェンジ、五條西インターチェンジまでの移動時間が十分から十五分程度となり、橿原市から五條市へのアクセスが飛躍的に向上し、さらには、和歌山へも一時間程度で結ばれるなど、大きく時間が短縮されました。 都市と都市を結ぶ道路網が整備されれば利便性が向上し経済効果が高まることにつながりますが、まさに京奈和自動車道橿原高田インターチェンジから和歌山ジャンクション間や、橿原北インターチェンジから郡山南インターチェンジ間は、その恩恵を十分に感じることのできる区間かと思います。南阪奈道路や中和幹線も含め、これらの道路を利用し多くの方が橿原市やその周辺地域に出かけてくる。また、沿道には大型ショッピングセンターや商業施設などが進出することになり、地域振興にも大きく寄与していることがわかります。 橿原神宮の参拝客が年々増加し百万人を超えるまでになっている一つの理由としても、道路の開通によるものであると言えます。本年二月十一日、建国記念日の紀元祭においても、多くの参拝客で渋滞が発生していたのも記憶に新しいところです。経済効果、地域振興にあわせ、観光振興にも大きく関係してくるのが道路整備であり、近年、かなり道路事情はよくなったとはいえ、奈良県においてはまだまだ整備が必要であると言えます。 ただ、便利にはなる反面、生活道路にまで影響を及ぼす渋滞問題が起こっています。曽我町や曲川町などの京奈和自動車道沿いの町では、生活道路に渋滞を迂回する車が進入し、さらにそこで渋滞を起こしている現状です。この渋滞対策については、京奈和自動車道と中和幹線が交差する土橋町南交差点での右折レーンや左折レーンの整備による対策がとられ、当初より改善が図られていますが、根本的な解消は、京奈和自動車道が全線開通することによって大きく緩和されることになると思われますので、このことからも、早期の工事進展に期待をするところでございます。 さて、京奈和自動車道大和区間においては、橿原北インターチェンジから橿原高田インターチェンジ間の四・四キロメートルの整備が期待されるところです。ここ数カ月前から、橋りょう部の下部工事の関係で車線が大きく変化し、一気に橋脚の工事が進展しています。一部、用地の取得がおくれているところもあると聞いておりますが、奈良県として最重要区間と位置づけられる京奈和自動車道橿原北インターチェンジから橿原高田インターチェンジ間の整備について、現在の進捗状況と今後の見通しを県土マネジメント部長にお伺いいたします。 最後に、国道一六五号畝傍駅前通り線の整備について、まちづくり推進局長にお伺いいたします。 国道一六五号畝傍駅前通り線は、橿原市内を通る国道二四号と国道一六五号バイパスをつなぐ道路で、平成二十四年度から街路事業として整備が続けられております。交通量が多いにもかかわらず、道路幅が狭く、歩道も整備されていない区間が残る道路で、早期の整備が必要な区間だといえます。私も、平成二十九年九月議会の一般質問において、進捗状況、整備の見通しについて伺うとともに、歩道に街路灯を設置し、バナー広告をつり下げる仕様にしてはどうかと提案させていただき、前向きな答弁をいただいたところでございます。 さて、この道路の沿線にあるJR畝傍駅は、昭和天皇がご休憩をされた貴賓室が現在も残っている由緒ある駅でもあります。JR畝傍駅から西へ橿原郵便局の交差点から南へ曲がり、現在、国土交通省が歩道整備をしている国道二四号から橿原警察署前の四条町の交差点、さらには、その先にある橿原神宮の参道までを一体的に歩道整備することで、神武天皇陵や橿原神宮へ向かうアクセスがよくなり、景観と利便性が向上するとともに、橿原市が建国の地であることのPRにつながるのではないかと考えております。そういう意味で、この街路事業は、単に歩道を含めた道路整備ということではなく、橿原市を建国の地、いわば、日本国発祥の地として広く国内外に発信するための一翼を担う重要な意味合いのあるものだと思っております。 県のまちづくり推進局や中和土木事務所による積極的かつ地道な活動と、地権者の皆様のご協力により、今年度には畝傍駅前通り線のJR畝傍駅前から西へ、国道二四号の橿原郵便局のある交差点までの用地の取得が完了したと聞いております。残り区間については、今後、用地交渉を進めていかれることと思いますが、まずは用地取得できたこの区間から、歩道整備を含めた街路事業を一気に進めていただきたいと思います。 そこで、まちづくり推進局長にお聞きします。 国道一六五号畝傍駅前通り線の整備を早期に進める必要があると考えますが、現在の取り組み状況についてお伺いをいたします。 以上で、壇上からの質問を終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(奥山博康) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)一番亀田議員のご質問がございました。私に対しましては、文化財の保存と活用の一体的な取り組みについてのご質問でございます。 文化財の保存と活用を車の両輪と捉え、地域の人々が守り生かせるような一体的な施策を展開することが、今、重要であると考えております。文化財は、社寺や研究所が保存されていても、世界の人々が関心をもって利用・研究される公共財というのが私の考え方でございます。一昨年十月、中央教育審議会特別部会の場に呼ばれまして、これからの文化財行政のあり方について意見を開陳するよう要請がありました。その場におきましては、都道府県の役割、また、修復や発掘調査の標準化・透明化の必要性、保存と活用の体系化の必要性、いわゆる六十日間ルールの見直し、六十日を超えて所有者のもとを離れてはいけないという子ども扱いをする文化財行政の見直し、また、文化財保護事務の首長部局への移管など、県の考えを述べさせていただきました。これが今回の文化財保護法等の改正につながったものと思っております。 この改正を受けまして、県では、本年四月一日に、文化財保護行政を教育委員会から知事部局に移管し、保存と活用の一体的な施策運営を進めることといたしました。 保存と活用の一体的な取り組みにより期待される効果といたしましては、まちづくりや景観、観光など、既に知事部局で行っている分野との調整・連携の強化や、国や市町村、地域との連携を深めることで、多くの歴史文化資源を有する本県の特徴を最大限に生かした施策の展開が可能になると考えています。一例だけ申し上げますと、文化財保存をされている社寺の前で音楽なり舞踊などのイベントをした場合、文化財もついでに見に行こうか、社寺もついでに見に行こうかということが可能になり、イベントと文化財の観察、二つのものが一体的な取り組みで実現することが考えられると思っております。 保存と活用の一体的な取り組みの具体例といたしまして本県が行っておりますのは、来年度の大英博物館における奈良の仏像展示、また、東京国立博物館における、島根県と共同開催いたします特別展出雲と大和など、大変大規模な展示が挙げられます。 また、足元では、なら歴史芸術文化村において、保存と活用の連携による文化財の修復、その公開や解説、修復にかかる人材の育成などを展開していきたいと考えております。仏像などの文化財だけでなく、宮大工の育成なども視野に入れております。 こうした文化財の活用について、文化財の本当の値打ちがわかるようになれば、保存の必要性について理解が深まり、奈良の質の高い歴史文化資源の魅力にふれて学んでいただく意味もより理解されるものと考えております。さらに、なら歴史芸術文化村をゲートウエーにして、飛鳥・藤原をはじめ中南和地域の歴史文化資源にも光を当て、周遊・滞在型観光に結びつけることにより、地域経済の活性化に取り組んでいけると思っております。世界に誇る文化財を歩くだけでも、奈良の観光は値打ちがあったというふうに思われる姿を想定しております。 今後は、教育委員会での蓄積を引き継ぎ、文化財の保存と活用の基本理念と政策体系を整え、文化振興や保存と活用をあわせた条例制定も視野に入れて施策を展開してまいりたいと考えております。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(奥山博康) 林医療政策局長。 ◎医療政策局長(林修一郎) (登壇)一番亀田議員から、健康寿命日本一に向けた今後の取り組みについてご質問をいただきました。 健康寿命を日本一にするという目標を達成するためには、県民一人ひとりが健康的な生活習慣を継続的に実践することが重要です。そのため、健康行動の呼びかけや、健康行動をとりやすい環境整備が県の大きな役割だと考えております。 議員がお述べいただきました健康ステーションにつきましては、健康づくりはお出かけからという考え方のもと、平成二十六年にお出かけ健康法の拠点として設置いたしたものでございます。昨年までに橿原市には約十八万五千人、王寺町には約七万二千人の方が来場され、活動量計を活用したお出かけ健康度の評価やお出かけモニター登録等に参加いただいております。 県では、この取り組みをさらに進めるため、平成二十八年度から、市町村が設置する健康ステーションに対し運営の補助を行い、これまでに三つの市と村で設置されました。来年度は新たに四つの市町村が設置予定であり、さらなる設置拡大に取り組んでまいります。 また、減塩対策につきましては、親子減塩教室の開催などの啓発の取り組みに加えまして、来年度は、新たに減塩等に無関心な人々にも健康的な食生活に慣れ、実践につなげていただくよう、県内のスーパーマーケットなどで販売される惣菜や弁当といったものの減塩と野菜の増量に取り組む、やさしおベジ増しプロジェクト事業という名称で実施する予定でございます。 今後も、県としましては、健康長寿日本一を目指し、市町村や関係団体等と連携をして、県民が身近なところで健康行動を継続的に実践できるよう環境整備に努めてまいります。 答弁は以上でございます。質問ありがとうございました。 ○副議長(奥山博康) 桝田くらし創造部長。 ◎くらし創造部長(桝田斉志) (登壇)一番亀田議員から、東京オリンピック・パラリンピックのキャンプ地招致の取り組みについてのお尋ねでございます。お答えいたします。 議員お述べのとおり、関係する三市と連携して、香港水泳チームが大和郡山市で、エジプト柔道チームが天理市で、ウクライナ陸上チームが橿原市で、東京オリンピックの事前キャンプを行うことについて、相手国関係者と調整合意ができましたことから、昨年十二月に公表したところでございます。 このほか、オーストラリアの女子サッカー、カザフスタンの女子バレーボール、シンガポールのパラリンピック水泳のチームなどから、県内で事前キャンプを実施したいとの意向をいただいておりまして、これまで調整を進めてきているところでございます。 今年度は、昨年のことでございますが、内閣官房や外務省の協力のもと、天理市と共同でエジプト柔道チームを、橿原市と共同でカザフスタン女子バレーボールチームのキャンプを受け入れ、その機会に天理大学との合同練習会や橿原市内の小中学生、高校生との交流イベントなどを行ったところであります。 これから、東京大会の本番年に向けまして、来年度は、キャンプ地ごとに県・市で運営する実行委員会によりまして、実施計画を策定、推進してまいります。具体的には、競技施設や宿泊、移動手段の確保のほか、運営ボランティアの募集、研修など、キャンプ実施に必要な受け入れ準備を進めるとともに、歓迎レセプションや周辺市町村とも連携できるようなスポーツ・文化交流イベントの企画にも積極的に取り組んでまいりたいと考えています。 このように引き続き県と市町村が連携してキャンプ地招致に取り組み、相手国との継続的な交流を図るとともに、歴史文化や自然等、本県の魅力を海外のトップアスリートに体験、発信していただくことにより、インバウンドの増加にもつなげてまいりたいと考えております。以上でございます。 ○副議長(奥山博康) 山田県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(山田哲也) (登壇)私には、京奈和自動車道橿原北インターチェンジから橿原高田インターチェンジ間の現状と今後の見通しでございます。 以前もご質問いただきまして、当時から、京奈和自動車道の御所方面と大和高田バイパスの大阪方面をつなぐランプ橋の下部工工事は着手してございましたが、今年度末に十三基が完成予定でございます。また、京奈和自動車道本線でも、JR桜井線付近の曽我町から新堂町の約一キロメートルの区間で、言われましたように、国道の切り回しを行いながら下部工工事を進めているとこでございます。 あわせまして、用地買収の状況でございますが、昨年末までに面積ベースで九割以上の進捗でございます。今後の見通しの上で、当然、工事を推進する上でさらなる用地取得が必要になりますけれども、県といたしましても、平成二十八年より用地の担当職員を増員して奈良国道事務所とともに用地交渉を行うなど、最大限努力してございます。 おっしゃられましたように、当該区間の早期完成は本県にとって最重要の課題であると考えてございますので、今後も、要望などを通じて整備促進を国に働きかけるとともに、用地買収にも積極的に協力して着実に整備を進めていきたいと思います。以上でございます。 ○副議長(奥山博康) 増田まちづくり推進局長。 ◎まちづくり推進局長(増田哲司) (登壇)一番亀田議員から私には、畝傍駅前通り線の整備について、現在の取り組み状況はどうかとのご質問でございます。 都市計画道路畝傍駅前通り線は、橿原市中心部の骨格を担う幹線道路であり、平成二十四年度に街路事業として着手いたしました。この事業では、車道を十メートルに広げ、両側に三メートルの歩道を設置する計画としまして、あわせて電線類の地中化、歩道の美装化をすることで、橿原市中心市街地の景観にふさわしい街路整備を進めているところでございます。 現在の進捗状況としましては、畝傍駅の西側区間の買収が完了したことから、今年度より駅西側の一部区間で水路設置などの工事を進めているところでございます。引き続き早期に効果が発揮できますよう整備を進めるとともに、駅東側区間につきましても用地買収を鋭意進め、全体区間の早期完成を目指してまいります。なお、お話がございましたバナーの取りつけにつきましては、対応は可能と聞いております。以上でございます。 ○副議長(奥山博康) 一番亀田忠彦議員。 ◆一番(亀田忠彦) 知事、並びにご答弁いただきました理事者の皆様、どうもありがとうございました。時間も限られておりますので、意見だけ述べさせていただきたいと思います。 まず、文化財保存課と文化資源活用課、壇上でも述べさせていただきましたけれども、これまでも、それぞれの立場で県の文化財行政に熱心に取り組んできていただいたということは、本当に感謝を申し上げたいと思います。ただ、これを機に知事部局に移管されるということでございますので、保存と活用に対する施策の連携が強化されることによって、一プラス一が二ではなくて三にも四にも五にもなるように、さらに文化財行政を牽引していただきますようにお願い申し上げたいと思います。特にその結果、観光振興につながっていくという大事な取り組みであると感じておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げたいですし、知事のご答弁の中にも、飛鳥・藤原地域へもというフレーズもありましたので、これが中南和地域への観光振興にもつながっていくようにという、そんなことも期待しながらよろしくお願い申し上げたいと思います。 そして、二番目で、健康寿命を延ばしていく奈良県としての取り組みは、先ほど医療政策局長からもご答弁をいただきましたように、一定の効果があらわれているという認識で私もおりますけれども、平成三十四年度には健康寿命日本一を目指すということは、あと残り四年になってきております。 身体運動、食事、特に減塩対策の取り組みをさらに進めることは大切だと考えておりますけれども、私は、もう一つの観点が抜けているのではないかと、最近思っております。それは何かと言いますと、精神的な部分への働きかけ、要するに心の健康を高めることが身体的な健康にも大きく影響するのではないかという、そんなことを感じております。 二〇一六年に厚生労働省内に統合医療企画調整室という部署が設置されております。国レベルでは統合医療の推進に向け動き始めておりますけれども、統合医療とは何かということでございますが、今までの西洋医学にあわせて東洋医学や精神療法など、相補代替医療と呼ばれる両方を統合し、患者に適したあらゆる可能性を取り入れようとする医療のことを指しているということでございます。 そもそもWHOの検証では健康について次のように定義されておりますけれども、要は健康とは、病気でないとか弱っていないということではなくて、肉体的にも精神的にも、そして社会的にも全てが満たされた状態にあることを言いますと定義をされているということでございます。身体、体だけではなくて精神的なもの、すなわち心も健康でなければいけないということが健康ということであると。心身ともに健康であることを求めていく必要があるのではないかと、そんなふうに思っております。 例を挙げれば、高齢者の施設などに保育園や幼稚園の園児たちが慰問に行くと高齢者の方々が楽しそうに元気にされているとか、さらには、美術品を鑑賞する、あるいは、きれいな花や景色を見る、音楽を聞く、そんなことをすると穏やかな気持ちになる。そんなことは誰もが経験していることではないかと思います。心が満たされて健康になると自然治癒力が高まるという効果も検証されておりますし、心身ともに健康になることによって健康寿命が伸びていくことにつながるのではないかと、そんなふうに思っております。 今までの取り組みをさらに進めていただくことは当然大切なことではあるのですけれども、身体的な健康にあわせて精神的な健康を高める取り組みを県としても研究をしていただけないかと思います。それが、平成三十四年度の健康寿命日本一につながる、また、一つの起爆剤にならないかと感じておりますので、ご提案をさせていただきたい。私もしっかりと勉強させていただきますけれども、県としても統合医療の情報収集をぜひしていただきたいと、ご要望させていただきます。 あとは、東京オリンピック・パラリンピックでございますけれども、これは、楽しみにしているビッグイベントでございます。今までもいろいろと活動していただいておりますけれども、大成功に終われるように取り組みを継続していただきたいと思います。 また、京奈和自動車道においても、最重要区間であるという認識のもとで、ぜひ用地買収を含めて早期の供用開始ができるように引き続きよろしくお願い申し上げたいと思います。 最後に、国道一六五号畝傍駅前通り線でございますけれども、今年は平成が終わり新しい年号に変わる年でもありますし、ぜひ初代天皇である神武天皇陵をはじめ、建国の地として国内外に発信するためにも、この道路が必要だと私も常に訴えておりますので、引き続きよろしくお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(奥山博康) 十四番大国正博議員。 ◆十四番(大国正博) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(奥山博康) お諮りします。 十四番大国正博議員のただいまの動議のとおりに決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) それでは、さように決し、明、三月一日の日程は、当局に対する一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後四時三十六分散会...